【連載】化粧品各社のイノベーション研究【23】第一三共ヘルスケア② ~トラネキサム酸処方の美白化粧品を開発、ドラッグストア等で販売~

2016.05.12

特集

編集部

第一三共ヘルスケアは、医薬品開発で得た“トラネキサム酸”に関する知見を応用して、初のトラネキサム酸を美白有効成分として配合した美容液「トランシーノ薬用ホワイトニングエッセンス」(30g入り・医薬部外品)を開発し、2010年1月に市場投入。翌年の2011年1月に同エッセンス50g入りを販売した。2商品は、透明感サポート成分や5つの保湿成分を配合している。

これを皮切りに、同シリーズ(医薬部外品)から2012年1月に肌ベースアップ成分を配合した「リペアクリーム」、2014年2月に「フェイシャルマスク」を発売した。2015年1月には、リニューアル化を図った「エッセンスEX」(医薬部外品)と「トライアルセット」を市場投入した。
エッセンスEXは、従来品の「トランシーノ薬用ホワイトニングエッセンス」に新たに透明感サポート成分「EX」を配合して処方を強化し、リニューアルしたもの。メラニンの生成連鎖を抑止し、透明感のある肌に導くなどの特徴がある。

2016年1月には「クリアミルク」を商品化してラインナップした。クリアミルクは、トラネキサム酸に加え、肌ベースアップ成分(潤い成分としてヒメフウロエキス)を新たに配合、メラニン色素の生成を抑制する。
特徴は、肌ベースアップ成分が、加齢や紫外線によってダメージを受けやすい肌を健やかに保ち、白くみずみずしい肌へ導く。

トランシーノ薬用ホワイトニングシリーズこうした薬用化粧品の開発は、本格的なしみのケアを望む女性に対して、製薬会社の視点で美白有効成分トラネキサム酸配合を共通の処方として合わせ、使用ステップに応じて保湿成分や潤い成分などを配合する処方設計して商品化したもの。
現在まで化粧水、美容液、乳液、フェイシャルマスクなど約6品目を商品化し、トランシーノブランド(肝斑を改善する内服薬の「トランジーノⅡ」、シミ・そばかすの緩和処方の内服薬「トランシーノホワイトC」)「トランシーノ薬用ホワイトニングシリーズ」(写真)として販売している。

現在、薬用化粧品「トランシーノ薬用ホワイトニングシリーズ」の販売チャネルは、代理店を介して主にドラッグストア、薬局・薬店などに卸販売している。
ともあれ、同社が化粧品分野に参入を果たす原動力になったのは、肝斑対応の内服薬開発に伴う有効成分「トラネキサム酸」の医薬治験に基づく応用開発に負うところが大きい。このトラネキサム酸開発が同社を化粧品分野に誘った大きなイノベーションを起こす潮流となった。

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