【連載】化粧品各社のイノベーション研究【28】スクロール① ~生協向け通販取引、取引額全体の56.7%を占める~

2016.06.13

特集

編集部

通信販売会社の株式会社スクロール(静岡県浜松市・東証1部)は、個人を対象とした「インターネット・カタログ通販」と生協・生協組合員を対象とした「生協組合員向け通販」の2事業を中心に事業を展開している。

同社は、日本生活協同組合連合会との取引額がグループの営業取引額全体の16.5%を占める。さらに、個別の生協等との直接取引を加えた生活協同組合全体としての営業取引額は、グループの営業取引額全体の56.7%に達する。

生協組合員向け通販は、年齢層やニーズが絞り込まれた顧客セグメントビジネス。一方、自社通販は、不特定多数が顧客となるため、難しい市場といえる反面、年齢や性別に縛られないでビジネスができる特徴がある。

創業(1939年)当初の商材はアパレルが中心だったが、徐々に家具、インテリア、生活雑貨、コスメなど商材を段階的に増やしてきた。

現在、同社の事業を商材別に区分するとアパレル商材の「通販アパレル事業」、インナー商材の「通販インナー事業」、雑貨・服飾雑貨の「通販LF事業」、化粧品・健康関連商材の「通販H&B事業」、通信事業者・電子商取引(EC)事業者等に対するプロモーション支援を行う「ソリューション事業」の5事業を事業運営の主体として展開している。この5事業に携わる連結子会社9社(表)でグループを形成している。
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同社の前期(2016年3月期連結)売上高は、前期比1.1%減の628億3900万円、営業損益17億7400万円の黒字(前年同期17億4300万円の赤字)、経常損益21億800万円の黒字(同14億4200万円の赤字)、当期損益23億8300万円の黒字(同26億4900万円の赤字)だった。
前期売上高628億3900万円の5事業別売上内訳は、通販アパレル事業24億600万円、通販インナー事業73億4600万円、通販LF事業138億1200万円、通販H&B事業98億9100万円、ソリューション事業76億8300万円となっている。
また、前期売上高に占める化粧品・健康関連商材の「通販H&B事業」売上比率は、15.7%となっている。特に、通販H&B事業の強化策としてナショナルブランド化粧品などを取り扱うECサイトにおいて、海外の仕入れソースの拡大を図り商品販売力を強化。同時に、各出店モールのキャンペーンを活用した販売に取り組んだ。
健粧品ビジネスについては、前年度までに獲得したオリジナル化粧品の顧客基盤をもとにリピート需要の拡大に注力する一方、期間や地域を限定するなど戦略的な広告展開による新規顧客の獲得に努めた。

同社の今期(2017年3月期)業績予想は、売上高650億円(前年同期皮3.4%増)、営業利益22億5000万円(同26.8%増)、利益18億円(同24.5%増)を見込んでいる。

 

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