【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【39】WSP② ~女性を幹部等に登用、上場計画含む中期経営計画立案を~
2016.12.16
編集部
真珠の卸売や真珠の化粧品を販売するWSPは、女性の社会進出や国境を越えて多様な人材を活用するダイバーシティの推進に取り組んでいる。
同社は、小粒な規模ながら社員の約80%が女性社員で占める。執行役員、幹部社員に女性を登用し、女性の雇用促進と働きやすい職場環境を整備して、上場に向けてベンチャーとしての成長・発展に繋げている。
女性社員の就労規則として子供の1歳の誕生日前日までを育休期間に設定。また、子供が病欠の時は、在宅勤務制度も導入し、育児と仕事の両立が図れる仕組みを講じている。
女性の幹部登用も盛んだ。女性の登用・活用としてWebの企画・運営は、女性の執行役員が担っている。
具体的な業務は、Webの企画・運営として年間の企画スケジュールの立案や進捗管理、広告の選定・運用及び商品企画や作成など、全体の業務に関わっている。
同社は、店舗としての目標としてジュエリー・コスメブランドとしての認知度を上げ、誰もが知っている“選ばれるブランド”になること。同時に、新たな価値を生み出していける店舗として進化することを目標としている。
化粧品部門の店舗開発においても、新規物件の探索や百貨店等へのアプローチなど店舗拡大への取り組みについて、目標を設定して行動する女性社員の活躍が目立つ。
こうした女性社員の活躍は、自由な社風と働きやすい職場環境が整備され、その土壌が醸成されていることに起因する。
女性を活用し登用していくダイバーシティの概念は、もともと社会的マイノリティの就業機会拡大を意図して使われることが多かった。それが現在は、性別や人種の違いを問わず、年齢、性格、学歴、価値観などの多様性を受け入れ、広く人材を活用することで生産性を高めようとするマネジメント手法といえる。
大手、中小企業を問わず企業がダイバーシティを重視し実践する背景には、有能な人材の発掘、斬新なアイデアの喚起、社会の多様なニーズへの対応といった狙いがある。
特に、女性ならではの職域、業務に女性を投入し、企業の成長を図る原動力とする新たな発想が、マネジメントの主流となりつつある。
同社においても女性の活躍を前面に押し出したダイバーシティ―に関わる職務規定や就労規則、雇用・採用基準などの制度導入は、同社が上場する際に必要になる人事・労務、総務規定を策定するうえで必修の基準となり得よう。
現在、上場について社内にアナウンスしているにすぎないが、より具体的な上場目標を打ち出すことが待たれる。