【連載】化粧品・美容関連ベンチャーの考証㉒創業・起業マインドを喚起、大学発ベンチャー1000社輩出

2017.04.24

特集

編集部

2001年1月に中央省庁が1府22省庁から1府12省庁へ再編した。再編に伴い通産省は、新たに経済産業省と名称を変え、中小企業庁、資源エネルギー庁、特許庁の3庁を傘下に置いた。同時に、産業振興やベンチャー支援、技術支援を行ってきた中小企業総合事業団、NEDOなど15特殊法人を引き継いだ。
2001年4月には、特殊法人等改革基本法が制定され、独立行政法人制度(認可法人含む)がスタートし、57特殊法人を先行して独立行政法人に移行(先行型法人)、看板を付け替えた。同年12月には、閣議決定された特殊法人等整理合理化計画に基づき特殊法人の大部分を独立行政法人に移行(移行型法人)することが明示された。しかし、独立行政法人の中期目標等の策定指針が遅れたことや省庁の独立行政法人移行の抵抗などから、特殊法人が独立行政法人に移行を始めたのは2003年10月からで、特殊法人が独立行政法人に全て移行するまで実に5年の歳月がかかった。

経産省関連で特殊法人から独立行政法人に移行したのは、NEDが2003年10月。また、中小企業総合事業団は、特殊法人産業基盤整備基金と認可法人地域振興整備公団を統合して2004年7月に独立行政法人に移行した。
省庁再編と同時期に経産省は、大学からベンチャー企業を輩出する目的で大学発ベンチャー1000社計画(2002年から2004年の3年計画)を打ち出した。
同1000社計画は、承認や認定を受けたTLOに対し、国立大学の施設を無償で貸与すると同時に、国立大学の教員が大学発ベンチャー企業やTLOの役員を兼業できる事を内容としたもの。法律的には、TLO法(1998年施行)と2000年4月施行の産業技術力強化法を根拠としたもので、産学連携による起業の増加と新市場創出に繋げる狙い。
しかし、大学発ベンチャーは、TLO法施行時の1998年に201社が設立された以降、1999年287社、2000年429社、2001年595社が設立された。3ヵ年計画の最終年度(2004年度)には、1000社を超える1112社が設立された。
経産省は、1112社合わせた売上高が1600億円、雇用数11000人にのぼると明らかにしたがその根拠はあいまいだ。とりわけ、設立数ではなく、経営体質と内容が問題視された。起業したのは良いが事業化に伴う緻密な資金計画、販売計画が曖昧で赤字経営に陥り、廃業を余儀なくされた大学発ベンチャーが多かった。
その要因は、大学の実験室の延長線上の発想で事業を行うため、経営が成り立たないこと。官の「大学からベンチャー創出」と言うブームに踊らせられた感じが否めない。

経産省の創業、起業マインドに踊ったのはVCとて同じで、大学発のバイオ、ITベンチャー中心に投資を行った。しかし、バイオベンチャー等への投資は、事業が軌道に乗り投資資金を回収するまで10年の歳月がかかる状況にあった。
このため、開発資金や事業が頓挫して経営難に陥るベンチャーが続出し、VCが経営管理に乗り出す動きも見られた。だが、そうしたベンチャーの企業体質の弱さの中でも VCの投資は、2000年にベンチャー市場の開設で過去最高の4200億円を記録。また、大学発ベンチャーの設立などを要因に2001年は、2500億円に達した。さらに、2001年9月時点でVCと投資組合(ファンド数:307)合わせた投融資残高は、前年比14%増の1兆400億円と初の1兆円台に乗せた。
こうした中で、異業種から化粧品分野に新規参入する大手企業の動きが見られるなど、イノベーションの波が押し寄せてきた。

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