【連載】創業100年・老舗化粧品会社の研究③リアル(下) ~大学との共同研究で米ぬか成分のセラミド効果を実証~

2017.06.14

特集

編集部

リアルは、米ぬか化粧品づくりのためにその原料となる「米ぬか」に含まれる成分分析や肌への効果(エビデンス)などについて近畿大、兵庫医科大学などとの共同研究で実証している。
米ぬかには、肌のうるおいを保つ保湿成分、オイル成分等に加えてビタミンB群、ビタミンEなどが豊富に含まれている。特に、皮膚の細胞と細胞の隙間にあり肌を乾燥や細菌など外敵の進入を防いでバリア機能をもつ脂質成分「セラミド」は、肌になじみやすく肌に潤いを与える成分として注目されている。

化粧品に配合されるセラミドは、大きく分けて「天然型・ヒト型セラミド」「天然セラミド」「植物性セラミド」「疑似セラミド」の4つに分類される。
天然型・ヒト型セラミドは、酵母を利用して生成したセラミドのこと。人の肌に元々あるセラミドとほぼ同じ分子構造のため、肌にあるセラミドを補うことができる。特徴は、保湿力・浸透力に優れており、刺激が少ない。他のセラミドと比べて肌への親和性が最も高く、肌のバリア機能をサポートする。
天然セラミドは、ウマなどの動物の臓器より抽出したセラミドのこと。動物由来なので人間の角質層の細胞間脂質と似ており、保湿力に優れているのが特徴。肌のセラミドの合成を促進させる働きがあるが比較的価格が高いのが難点。
植物性セラミドは、米ぬか油や小麦胚芽油から抽出したセラミドのこと。植物由来のため、肌には優しい反面、ヒト型セラミドや天然セラミドに比べると保湿力は高くない。
疑似セラミドは、セラミド類似の機能を有した化学合成された成分のこと。ヒト型セラミドや天然セラミドに及ばないものの、柔軟効果と水分保持効果は高いとされている。セラミドそのものを補ったり、セラミドの合成を促したりはできないが、水に溶けやすく高濃度配合しやすいのが長所。

中でも、米ぬかには、米ぬか由来の水溶性多糖類で、保湿作用を示す米ぬか抽出エキス「オリザブラン」とからだの働きを調節する役割をもつ美肌保湿成分「γ-オリザノール」が含まれていることを大学などとの共同研究で明らかにした。
「γ-オリザノール」は、紫外線を防ぐ効果を持っており、紫外線によっておこる光老化(シミ・ソバカス・乾燥・シワなど)から肌を守る。同時に、γ-オリザノールは①紫外線防止効果に加えて血行を良くする②ターンオーバーの正常化を促して老化した角質を取りのぞく③皮膚の表面を膜で保護するなどの特徴をもつことを解明した。
こうした米ぬかに含まれる成分や肌への効果について、これまで共同研究した近畿大、兵庫医科大学大学が「黒米糠抽出物の抗変異原性」や「アトピー性皮膚炎児のスキンケアにおける米由来天然セラミド配合クリームの有用性」について学会発表を行っている。

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