幹細胞コスメの最近のトレンドロート製薬の幹細胞研究 ~脂肪肝細胞、真皮繊維芽細胞のコラーゲン等の産生能力向上を確認~(上)

2017.11.28

特集

編集部

医薬品と化粧品を経営の両輪として推進し、すでに化粧品事業が総売上高の50%を占めるなど化粧品専業メーカーをしのぐ地歩を固めているロート製薬株式会社(大阪府大阪市)は、脂肪肝細胞の研究において真皮繊維芽細胞のコラーゲン等の産生能力を高めることを確認するなど、幹細胞研究で成果を創出している。

同社は、幹細胞による再生医療の研究・開発を促進するため2013年に「再生医療研究企画部」を新設し、研究拠点「ロートリサーチビレッジ京都」において脂肪幹細胞の有用性に重点を置きながら本格的な研究に着手した。特に「脂肪由来間葉系幹細胞の皮膚における効果についてアンチエイジングへの応用が期待できる」と判断したことが研究の助走を速めた。

以来、これまでの幹細胞〈自己複製能力と様々な細胞に分化する能力を持つ細胞〉研究では、脂肪由来間葉系幹細胞(脂肪の中にある幹細胞)が真皮線維芽細胞のヒアルロン酸、コラーゲン及びコラーゲンの分解を抑制する酵素「TIMP1」の産生を促進することを確認。また、真皮線維芽細胞のコラーゲン線維形成を促進することや幹細胞が自らコラーゲン線維を形成することに加えて線維芽細胞の能力まで高めることが明らかになった。

具体的な研究成果として
①脂肪由来間葉系幹細胞は真皮線維芽細胞の能力を高める
②脂肪由来間葉系幹細胞との共存により、線維芽細(コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸などのタンパク質を生成する美肌の生命線ともいえる細胞)の I 型コラーゲン、ヒアルロン酸、TIMP1 の産生を促進することを確認。

同社は、脂肪幹細胞と線維芽細胞のコラーゲン産生能力を試験で比較したところ「脂肪肝細胞」は、コラーゲンの産生能力が線維芽細胞と同等であること。さらに、コラーゲンは、線維状になることで弾力を発揮するが、脂肪幹細胞が出すコラーゲンも線維芽細胞と同じように線維状になることを初めて明らかにした。

図に脂肪肝細胞のコラーゲン生成能力とコラーゲン繊維を算出する能力を実証したエビデンスを示す。

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