インドで7月に導入された物品・サービス税が与えるパーソナルケア市場への影響

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2017.11.28

国際部

インド政府は今年7月1日、Goods and Services Tax (GST、物品・サービス税)を導入した。過去最大の税制改革として経済効果が期待されるほか、全州で間接税が同率化され、税の申告などが容易になることが期待されている。グローバル市場調査会社ユーロモニター・インターナショナルは、 GST導入後の美容・パーソナル市場に与える影響について有料レポート「Impact of the 2017 Goods and Services Tax (GST) on Beauty and Personal Care in India」をリリースした。公式サイトのブログ(11月19日付)で、同社アナリストの Shreyansh Kocheri氏はインドの石けん市場、カラー化粧品市場、ヘアケア市場の今後を次の通り、予測している。

石けん市場

入浴・シャワー時にインドでは石けんが主に利用されている(2016年調査では石けん占有率89%)が、最近、ボディーウォッシュ/シャワージェルなどの代替品によりプレミアム化し始めていた。今回の税制改革で石けんは必要製品として分類され、税率は24%から18%に引き下げられた。 石けんは価格弾力性が低く、インドで最も価格に敏感な美容製品の一つ。GST導入で石けんとボディーウォッシュ/シャワージェルとの価格差をさらに拡大させ、低所得層の消費者は石けんに戻ることが予想される。これは、主要なプレイヤーによって石けんの平均単価が引き下げられることが予想されるため、としている。2018年には石けんの生産量4000トンの増加も予測している。

カラー化粧品市場

カラー化粧品の安全性と品質はインドの消費者にとって重要だが、市場は価格と流通アクセスに左右され、カラー化粧品市場は非常に細分化されている現状がある。大多数の消費者は地元の食料品雑貨店や小売業者を通じて購入しており、地方では、時には“違法なブランド”も流通しているという。今回、カラー化粧品の税率は24%から28%に引き上げられた。インドの国内メーカーにとって、特に安価な製品を製造しているプレイヤーは不利になるかもしれない。『Lakmé』をはじめとするマス/マステージブランドを展開する国際プレイヤー・ユニリーバなどに利益をもたらす可能性を予測している。 また、消費者の相対的価値が高まるにつれて、『Colorbar』などを含むランキング6〜10位の確立されたブランドへの忠誠心が高まるのではないかとみている。

ヘアケア市場

ヘアケア製品の大半は、税率約24%から28%へと引き上げられたが、ヘアケア市場で売上1位のヘアオイルは 石けん同様に必要製品と分類され税率は18%に引き下げられた。国内ブランドのプレイヤーは今後、売上を伸ばすと予想され、2018年にはヘアオイルの消費量は230万リットルに達すると見込まれる。国際プレイヤーは安価なヘアオイルの生産には消極的だったため、ヘアケア部門ではGST導入後、不利になる可能性がある。例えば、ユニリーバはインドのヘアケア市場のリーダーだが、シャンプーの市場シェアが50%であるのに対し、コンディショナー(ヘアオイル)カテゴリーはわずか3%。国際プレイヤーが、この分野での税率引き下げの恩恵を受けるには、 都市に住む消費者層を対象にアルガン、ホホバ、カメリアなどより洗練された成分で配合されたヘアオイルの市場投入などの展開を示唆している。

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