幹細胞コスメの最近のトレンド琉球大医学部発ベンチャー、グランセルの幹細胞研究~幹細胞培養液コスメを3商品開発、来年2月に販売延期~(上)

2017.12.12

特集

編集部

琉球大発ベンチャー企業「株式会社グランセル」(沖縄県西原町の琉球大地域創生総合研究棟内=写真)は、琉球大学医学部での再生医療研究成果を事業化する目的で2017年2月に設立した再生医療ベンチャー企業。
主力事業として幹細胞化粧品事業と脂肪肝細胞ストック事業を車の両輪にして事業を展開。早くも幹細胞化粧品事業で成果を創出している。

同社は、脂肪組織由来幹細胞(脂肪幹細胞)の培養液を活用したスキンケア化粧品(幹細胞培養液コスメ)の開発にメドをつけ、2017年6月に化粧品製造販売業を取得した。
同社が商品化した幹細胞培養コスメは、化粧水、美容液、フェースマスクの3商品で、2018年2月からオンラインショップで販売する計画。

同社が開発した幹細胞培養液コスメは、幹細胞培養液から抽出した培養上清をそのまま配合または、抽出した成分を遺伝工学の技術で組み替えるなどして化粧品に配合し、商品化に繋げた。
幹細胞を培養する際に幹細胞から多様な成分が排出される。この成分のなかには、コラーゲンやエラスチンなどの各種タンパク質をはじめ、上皮細胞の生成や修復を促進する特殊なタンパク質「EGF」などの成長因子(培養上清)が入っている。

同社は、当初、開発したこれらの幹細胞培養液コスメを2017年11月からネット通販で販売する予定を立てていた。ところが11月に「諸般の事情で販売を延期する」と言明、来年2月頃をメドに販売を行うことにした。
突然、販売を延期したことについて同社は、具体的なコメントを控えている。また、幹細胞培養液は、細胞活性の促進効果がある成長因子を豊富に含んでいる。化粧品の原料にすることで、若々しい肌を保つ効果が期待できる。

それにしても会社を設立して商品開発や製造販売の許認可取得、市場投入等の事業化に賭けるスピード感は、ベンチャーの特異性をかもし出す。しかし、現時点において開発した幹細胞培養液コスメ3商品の機能や特徴が今一つはっきりしない。さらに、製品化や製造・販売を自社で行うのか、あるいは、外部の化粧品メーカー等に販売を委託するのか、不明確だ。
来年2月までには、これらの諸点を含めて事業全体が明るみになる。ただ、資金面等から事業が頓挫することだけは避けたいものだ。

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