【連載】大手化粧品会社の研究③マンダムの会社研究 ~マンダムインドネシア、海外事業を牽引~(中)

2018.02.6

特集

編集部

マンダムの収益面で大きく貢献しているのが、マンダムインドネシア(連結子会社)の存在である。現在、インドネシアの化粧品市場規模は、約30兆億ルピアとみられ、同市場に占めるマンダムインドネシアのシェアは、約6%程度と推計される。また、ヘアスタイリング分野におけるシェアは、70%強を占め独壇場にある。

マンダムがインドネシアに進出したのは今から49年前の1969年にさかのぼる。1993年には、ジャカルタ証券取引所に上場した。

マンダムの2017年3月期の売上高は、773億円にのぼる。この内、マンダムインドネシアは、売上高の23.6%に当たる約183憶円を稼ぎ出している。また、同期におけるマンダムインドネシアと海外その他合わせた売上高は、313億円と40.5%を占めるなど海外での稼ぎが高まっている点に特徴がみられる。

インドネシアでの好調な理由は、男性向け整髪料「ギャッピー」が同国の男性整髪料の販売額で7割を超すシェアを占めるなど、トップブランドに躍り出ている。
この好調な理由は、現地の販売代理店がインドネシアの流通・小売り形態である家族経営の小規模雑貨店に食い込みを図り、需要を浸透・根付かせたことが大きい。特に、現地で「サシェット」と呼ぶ1回使いきりの子袋での低価格販売が奏功し、合わせて小規模雑貨店による取扱店舗を拡充し、販売網を構築したことが収益面に大きく貢献している。例えば、粉末タイプの白髪染めは、必要分だけを小分けにして水に溶かして使用できることで根強い人気がある。また、固形や粉末のデオドラント剤は、直接香りをつけ臭いを抑える使用感が好まれている。基本的な商品設計については、現地主導で行われていることが需要増加に繋がっている。

男性向け化粧品のブランド力を発揮して1982年からインドネシア市場に投入した女性向け化粧品「ピクシー」ブランドが徐々に浸透し、海外化粧品各社と互角の戦いを演じている。

一方、生産の整備・拡充を図るためマンダムインドネシアは、工場火災に伴い2015年6月に47億円を投じて新社屋と併設した新工場(写真)を建設した。

今後はインドネシアでの成功体験を中国の地方都市やインド、ベトナム、ミャンマーなど他の新興国に広げていく。同時に、ローカル人材を生かしながら現地の市場を見つめ現地の生活者にこだわった商品を提供していく方針。

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