【連載】大手化粧品会社の研究㉘日本色材工業研究所の会社研究 ~中期目標売上高100億円、前倒しで実現~(上)

2018.06.11

特集

編集部

株式会社日本色材工業研究所(東京都港区、東証ジャスダック・スタンダード市場上場)は、1930年に白粉用の顔料製造として創業。1957年に化粧品のOEMを目的とした法人組織「日本色材工業研究所」を設立して「相手先ブランド名製造」(OEM事業)に乗り出した。以来、OEMに加えて相手先ブランド開発設計(ODMメーカー)の技を磨き現在では、化粧品OEM・ODMメーカーとして業界を牽引している。

同社は、2014年度に2018年度までの5ヵ年間で「最終年度の2018年度に連結売上高100億円の大台乗せを狙う」として5ヵ年中期経営計画をスタートした。しかし、業績の好調から1年前倒しして2017年2月期に売上高100億円の大台乗せを実現するなど成長の軌跡を実現している。
こうした中期売上目標を前倒しで実現した要因は
➀UV製品、油性固形製剤、マスカラ製品の拡販による製品力の強化と競争力向上
②ファンデーションやUV製品などの美白製剤の増強及び高機能パウダー製剤と低価格製品の開発によるパウダー製品の受注拡大
③顧客基盤の強化を目的とした既存顧客との取引ボリュームの拡大、外資系ブランドとの取引増強、新規市場参入企業への積極的な提案営業の展開
④つくば工場拡張による生産能力の拡大と品質保証体制の強化
⑤仏子会社テプニエとのシナジー効果によるOEM事業のグローバル化推進などに継続して取り組んだことが要因。

同社の2017年2月期と2018年2月期の業績実績及び2019年2月期の業績見込み(いずれも連結ベース)は表の会社概要に示す。
前期(2018年2月期)の業績(連結)は、旺盛なアウトソーシング需要を背景とした化粧品メーカー各社からの受注増に加え、フランスでも主力の医薬品製造受託事業が堅調に推移したこと等により売上高、103億95百万円(前期比3.9%増)となった。利益面では、主に国内における労働需給のひっ迫を背景とした人件費等の増加ならびにつくば工場第2期拡張工事の竣工に伴う減価償却、経費負担増等が影響し、営業利益は6億46百万円(前期比19.2%減)、利益5億12百万円(同3.8%減)と増収減益となった。
前期における国内と仏国の事業に関わるセグメント業績は、日本国内の大手化粧品メーカーから同社へのアウトソーシングが増加し、売上高は前期比3.6%増の87億7百万円となった。また、フランスにおける子会社のテブ二エ社が行う主力の医薬品事業は、受注が堅調に推移したことで売上高17億50百万円(前期比0.9%増)、営業利益1億03百万円(前期比10.3%減)となった。

同社の今期(2019年2月期)業績見通しは「つくば工場の拡張を中核とする成長投資」および「事業のグローバリゼーションの加速化」を骨子とする「中期事業戦略ビジョン」を継続推進することで、売上高113億65百万円(前期比9.3%増)、営業利益8億53百万円(前期比32.0%増)、当期純利益5億53百万円(前期比7.9%増)を見込んでいる。

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