株式会社アライタダオエクセレンス 代表取締役新井唯夫さん

インタビュー

監修:美容経済新聞

ヘアメイク業界のカリスマとして名を馳せるFEERIE代表 新井唯夫氏。
美容業界に入るまでの経緯やエピソードをはじめ、自身の美容に対する考え方や人生観などをお伺いした。また、美容業界に対する想いやプロフェッショナルを目指すためのセオリー、更には新井氏の今後の展望を伺うとともに、現在美容業界に携わる人たちへの熱いメッセージをいただいた。
※掲載内容は全て取材当時のものとなります。(c)2010

新井唯夫さん

花上:この企画では、新井唯夫さんがどのようにして美容業界を歩まれてこられたのか、また、ご自身の美容に対する想い、業界に対するお考えなどをお伺いさせていただければと思います。本日はどうぞ、宜しくお願いいたします。

新井:宜しくお願いいたします。

花上:新井さんといえば、ヘアメイク業界では「アップスタイル」の第一人者として、確固たる地位を築かれていらっしゃいますね。また、テレビや雑誌など、さまざまなメディアでもご活躍され、美容業界に限らず多くのファンが存在しています。そもそも、どのようなきっかけで美容業界に足を踏み入れられたのでしょうか。

新井:私は、祖母が日本髪結いの家元、両祖母、両親が美容師、という生粋の美容師家系に生まれました。とりわけ、父は日本髪結いの教えを受けて、現代のアップスタイルの独自の技術を確立。「美容研究全国新井会」という、アップスタイルの研究会を組織し、その技術を全国に広めました。私はその二代目として、アップスタイルの技術を伝承しています。

花上:日本古来の髪結いの技術を受け継がれていらっしゃることが、アップスタイルを得意とされている由縁なのですね。アップスタイルというのは難しい技術ですか?

新井:そうですね。髪結いに伝わるオーソドックスなアップスタイル、いわゆる「日本髪」はとくに難しい技術だと思います。最近では、ヘアサロンで提供するスタイルのほとんどが洋風で、カットやパーマが重視されるようになっています。“結いあげる”という基本的な技術自体、できる人があまりいなくなっているのが現状です。

花上:もともと、家業である美容の世界に興味があったのですか?

新井:僕がスタイリストになった頃、青山とかで横文字のお洒落なヘアサロンが流行し始めたときでした。ですから、そのときは「髪結いなんて今どきじゃない」と、じつは思っていたんです。しかし、そのような折に父親が他界しまして。そのときに初めて、「このまま終わらせたくない。この技術をなんとか残していきたい」という気持ちになりました。そこからまた、アップスタイルを必死に勉強し直しました。
父が亡くなってからは「新井会」もいったんはなくなってしまったのですが、古くからの先生も取り込んで組織を復活させ、全国で講習会を開くようになりました。

花上:過去の講習回数は1700回以上、受講生は年間2万人にも及ぶそうですね。古くからの技術をそこまで大きく復活させるのには、大変なご苦労があったのではないでしょうか。

新井:そうですね。以前の新井会は若い人たちが入りづらい構図になっていましたので、まずはそこを見直しました。組合・ディーラー・メーカーとの連携を上手にとって、誰もが参加できるような仕組みづくりをしてきました。また、講習会やショーなどの催しが盛り上がるよう、さまざまな企画を練って開催プランに反映させました。現在においても、来てくださる方に「来てよかった」と思われるように、毎回、さまざまな企画や演出を考えています。

花上:新井さんがご出演されるヘアショーや講習会は、かなり盛り上がるそうですね。

新井:私は文章を書いたり、絵を描いたりするのも好きなものですから、たとえばヘアショーにおいては、髪のスタイリングだけでなく、詩やイラスト、トーク、音楽、映像などを駆使したショーを行います。ヘアという枠にとどまらず、私の中から湧き出る“美”に対する感情を、いろいろなツールを使って表現させていただいています。その感情を観客のみなさんと共有させていただいて、会場をひとつにすることを目指しています。

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花上:エンターティナーなのですね。新井さんは講習会やショーだけでなくサロン空間や粧材、衣装、アクセサリーにいたるまで、本当にいろいろなものをプロデュースされていらっしゃいますよね。最近ではエステティックを含めたトータルサロンをプロデュースされていらっしゃいますが、どのようなきっかけがあったのでしょうか。

新井:たとえば、美しい写真を見たとき、被写体の形や表情、アングルや色味の要素がきれいに絡み合ってこそ、「美しいな」と思います。また、動いている人間でいえば、髪型やファッションもそうですが、表情や雰囲気や仕草、話し方、視線など……。その人を構成する一つひとつの事象すべてが重なり合って、その人のよさを引き出していると、「素敵だな、かっこいいな」と感じさせます。そんな風に美を追求していったとき、肌や体の健康を含めた“素材美”を突き詰めたいと思いました。
人の体を構成する肌、そして体を根本から美しくしたいと思いました。そのような想いから、ヘアだけでなく、フェイシャルやボディ、デトックスなどを提供できるトータルサロンをプロデュースしました。

「真の美しさ」は、肌や体を外側からきれいにするだけでは、醸し出すことはできないですよね。美しいな、と思う人って、無邪気に笑う表情を自然に見せることができたり、幸せできらきら輝いていたり、何かに必死に立ち向かっていたり――。そんな風に、内面から純粋に湧いてくるものがにじみ出てこそ、本当のその人の美しさを表わすことができるのではないでしょうか。私は、それぞれの人が美の体験を通じて、人生の喜びを感じ、輝く未来を描いてほしいと願っています。そしてこれからも、そんな幸福の感情を生み出せるモノやコトを、どんどんプロデュースしていきたいですね。

花上:素敵なお話をありがとうございます。そのような美に対する哲学が、あらゆるもののプロデュース力につながっているのですね。

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新井唯夫 Tadao Arai

Profile
「FEERIE」銀座店やエステサロンでのサロンワークのほか、美容専門誌やテレビ番組に出演する人気ヘアスタイリストで認定エステティシャン。毎年全国各地で数億のヘアショーや実技講習をプロデュース。
受講者は年間2万8千人を超え、過去の講習回数は1700回に及ぶ。

都内にサロン「FEERIE」を6店舗展開する「株式会社アライタダオエクセレンス」と、自らがプロデュースしたビューティーアイテムを販売する「株式会社ジュニュイン」のPresident&C.E.O。

「美容研究全国新井会」主宰。
オリジナルブランド「TADAOARAI」(アクセサリーシリーズ、アロマオイル、ピュア化粧品ほか)、実用書9冊、他DVD等多数。

FEERIE http://www.feerie.jp/
GENUINE http://www.genuine.tv/
美容研究全国新井会  http://www.arai-kai.net/
TADAO ARAI.COM  http://www.tadaoarai.com

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