連載(上)ジンコーポ、私的整理で会社再建へ~新規契約が激減、解約件数も激増~

最新商品

2015.09.2

編集部

ジンコーポ本社関係筋が明らかにしたところによるとエステサロン「ミュゼプラチナム」(店舗名)を展開している株式会社ジンコーポレーション(渋谷区=写真)は、資金繰り悪化から会社を私的整理で再建することになった。同社が私的整理に追い込まれたのは、新規会員権の伸び悩みによる業績不振と会員の会員権解約が増加したことで、簿外債務が一挙に、500億円強にまで膨れ上がったことが主因。

現在、私的整理による会社再建については、主力銀行の常陽銀行と足利銀行などの金融機関(債権者)との間で、銀行の債権放棄を含めて具体的な整理方法や財産の分配などについて協議しているが簿外債務が巨額なだけに銀行の債権放棄がすんなりいくか、予断を許さない情勢。

同社の新規契約件数と解約件数が様変わりの状況になったのは、2014年6月頃から。新規契約件数は、6月に約6万件にのぼったが11月に約2万件と3分の1にまで減少。月間2万件のペースは、今年の3月まで続いた。4月に入って月間4万件に戻したものの新規契約件数の落ち込みを本格的に回復させるまでには至っていない。

こうした新規会員の伸び率は、2013年度で前年比24%増となったが2014年度には一転、5%と大幅にペースダウンした。

新規会員が伸び悩む中で解約にも拍車がかかった。解約件数は、昨年1月に3,708件だったが同年6月に7,000件を突破。9月の7,716件をピークに現在も月平均7,000件前後で解約が推移している。同社の解約数は、今年6月で、前年同月比約2倍まで膨れ上がっている状態。

解約金に伴う返金にも異常さが見える。同社の解約に伴う返金方法は「口座振込」「送金サービス」「郵送解約」などがある。今年4月から、いずれの返金方法もこれまでより1カ月から2カ月先延ばしに変更した。

「口座振込」の場合は、3月までは解約日から2週間以内に振込返金することになっていた。しかし、4月以降は「解約手続きの月の翌月末日に返金」となった。「送金サービス」の場合は、最大3カ月先まで先延ばしされている。返金の先延ばしは、毎月の解約金額が激増したため、資金が回転しなくなったことを意味する。

その一因には、同社独特の会計システムに起因する。その年に売れたエステ利用チケットは、未使用でも全てその年の売上に計上している。未使用チケットは、最後の施術から2年以内に解約し返金できるシステムを採用しているため同社にとっては、簿外債務となり負債となる。また、同社は、解約が出た場合、売上を取り消す会計処理を採り入れているため解約増は、屋台骨を揺らすことになり致命傷となる。かつて同社に対してシンジケートローン(協調融資)を組んで融資に応じてきた常陽銀行は、この簿外債務と取引き先への未払い金を重視して財務の実態調査に乗り出している。私的整理で会社再建が可能か、を判断するためだ。

参考リンク
株式会社ジンコーポレーション
連載(中)ジンコーポ、私的整理で会社再建へ~銀行団債務超過など調査、ジンが銀行団に再建計画提出へ~
連載(下)ジンコーポ、私的整理で会社再建へ~規模追求のロードレース型エステ事業終焉に~

#

↑