ブリーチによる髪のダメージの構造的分析結果が報告された
2018.10.3
国際部
ブリーチに使用するアルカリ性過酸化水素がヒトの髪に及ぼす構造的および化学的影響を、透過型電子顕微鏡およびレドックス・プロテオミクスを用いて研究した結果が9月19日、「International Journal of Cosmetic Science」オンラインに掲載された。
毛髪のブリーチまたはカラーには、一般的にアルカリ性過酸化水素が使用される。今回の試験では、毛髪への施術の際、浸出によって失われたタンパク質を、アミノ酸分析および質量分析シーケンシングを用いて試験した。また、透過電子顕微鏡法、アミノ酸分析、レドックス・プロテオミクスを用いて繊維損傷を評価した。浸出によるタンパク質の損失はブリーチが強ければ強いほど増加していた。浸出したタンパク質には角皮(キューティクル)だけではなく、皮質中間径フィラメントおよびマトリックスケラチン関連タンパク質も含まれていた。浸出されたタンパク質はブリーチの強さにしたがい酸化された。ブリーチされた繊維は表皮層および皮質に実質的な損傷があることを示していた。最も穏やかなブリーチ剤での処理後にも、分解されたメラニン顆粒が広範囲に認められた。漂白された繊維におけるタンパク質の酸化は、主に皮質中間径フィラメントで認められた。
その結果、過酸化物による化学処理(ブリーチ)は素早く皮質に到達し、メラニンの損失に加えて、繊維全体に酸化的損傷を引き起こす。過酸化物の進入は、毛髪繊維のクチクラ層(キューティクル)で引き起こされる大きな構造的劣化によって促進される可能性が高い。クチクラおよび皮質内での過酸化物作用の結果は、タンパク質の酸化、およびブリーチの強さと相関する繊維からのタンパク質の損失であることがわかった。