【連載】化粧特許と知的財産権⑧アサヌマコーポレーション、製品づくりと容器開発で他社を差別化(下)
2019.06.11
編集部
アサヌマ コーポレーションは、メイクアップおよびベースメイク化粧品の企画から開発を手がけてきた国内屈指の化粧品OEM 企業。国内外のビッグネーム企業を数多く取引先に持ち、常時1500 以上の商品アイテムを手がけている。
化粧品開発の仕事は多くの場合、提案から始まる。メイク用品のOEM の場合、取引先から手法もらって製作することはまずない。「うちはこういうものができます」 とアピールし、その後コンペなどで競争するのが主流。同業者との厳しい戦いに勝つには、自社ならではの技術やノウハウ、アイデアなどが不可欠である。
同社の武器は、培ってきた確かな技術を基盤とした製品づくりに加え、機能性やデザイン性、使い心地を意識した容器の開発も行うことで、他社との差別化を図っている。
今までにない容器作りを開発する場合、ある程度、できたところで、中身の化粧品とドッキングして試作品を作る。
このため、全行程で1 年から2 年くらいかかる。また、既成の容器を使い、中身だけを開発するケースもある。
中身と容器をトータルで作り上げるのは、容器のデザイン技術や処方技術等が必要でこれらの技術が同社ならではの強みになっている。
これからは、この強みを活かし、より低コストで、個性的なデザインを取り入れた容器開発に挑戦していく考え。
通常、化粧品、容器等を開発する中で、特許性のある技術や製造法を見出すことは多々ある。しかし、販売業に携わらないOEMメーカーが特許権を取得してもメリットは少ないとも言われる。
特許出願に費用がかさむと共に技術公開するため、二の足を踏む企業は多い。
しかし、同社は「現在の化粧品について全成分を表示することが法律で義務づけられ顧客・取引先のニーズをつかみ夢のある商品を企画・開発することは重要」と説く。
こうした発想を基盤に化粧品と容器の品質や機能性、美しさを総合的に勘案した製品開発を次々と生み出している。
メイクアップ化粧品の専門メーカーとして、OEM 商品の研究から企画・開発、製造までをワンストップで手がけ、常時1500 以上のアイテムを扱っている。
化粧品本体に留まらず、容器の開発にも尽力し、化粧品と容器の品質や機能性、美しさを総合的に生み出している。
同社は、これまで取得した特許について「自分たちの技術を守るもの」 と捉えて外部に積極的に情報提供してこなかった。しかし、今後は「数多くの特許を持っていることは、技術力の証明にもつながる」として特許取得を鼓舞し積極的に特許内容を啓蒙している。特に、特許抵触には、細心の注意を払っている。万が一にも手がけた製品がほかの特許に抵触していれば、自社だけでなく取引先も膨大なダメージを受けることになるとの考えだ。
海外特許にも目を配る。国により薬事法などで成分の規制に差異もあるので、その対応も重要。ひとくちに化粧品と言っても、その成分や機能、容器の形状はまるで違ってくる。
同社は、研究員をカテゴリーごとに6 グループに分け、商品の研究から企画、開発までを担当させるなどひとつのカテゴリーの専任として力を発揮している。