褐色肥満細胞活性化の評価方法を比較
2019.07.18
国際部
褐色肥満細胞の活性化の観察に用いる、陽電子放出断層撮影法(PET)、磁気共鳴(MR)、および赤外線サーモグラフィー(IRT)画像診断法を比較評価した研究が7月13日、「Obesity」オンラインに掲載された。
主に鎖骨や胸骨周辺に分布する褐色脂肪細胞は、脂肪を燃焼し熱を産生する。新生児に特有のものと考えられていた褐色脂肪細胞は、近年の研究で、成人にも存在することが分かり、肥満研究の主題として研究が盛んである。今回の研究では、各方法による評価と、プシノイド摂取および寒冷曝露を用いた褐色脂肪組織(BAT)活性化後のエネルギー消費との関連を比較した。20人のボランティア参加者を対象に、カプシノイド摂取と寒冷暴露後のPET-MR、IRTイメージングおよび全身熱量測定を実施し、鎖骨上褐色脂肪組織領域の標準化取り込み値(SUV)および脂肪分率(FF)を推定した。
その結果、IRTで同定された鎖骨上のホットスポットは、PET画像上の最大フルオロデオキシグルコース取り込みの面積によく対応していることがわかった。寒冷曝露後の鎖骨上部の温度は、エネルギー消費と関連する有意な変数であることが確認された。SUVはFFと有意に逆相関し、BAT陽性参加者における寒冷曝露中の鎖骨上部温度のピークとは有意に相関していた。陽電子放出断層撮影法、磁気共鳴および赤外線サーモグラフィー画像診断法のいずれもBAT活性を非侵襲的に研究するための有望な方法であると結論された。