実は更年期以降に多かった女性の片頭痛
2014.06.27
国際部
ストレス、光の刺激、生理中、天気の変動などにより起こる片頭痛は、比較的若い女性に多い疾患と考えられている。6月26-29日に米国ロサンゼルスで開催された第56回米国頭痛学会議で、閉経期または閉経後の女性のほうが片頭痛のリスクが増加していたという研究結果が発表された。
米国シンシナティ大学の頭痛・顔面痛プログラム(Headache and Facial Pain Program)の共同ディレクターで、同大学内科学のVincent T. Martin教授によれば、「私たちの研究は、片頭痛発作の頻度が更年期の間に増加することを示した最初のものである」と述べている。
研究は、米国の12万世帯をサンプルに郵送アンケート調査により行われ、35-65歳の女性を対象に分析した。その結果、3603人の女性が分析に適格とされ、平均年齢は45歳だった。片頭痛発作が月に10日以上を高頻度と定義した。高頻度の片頭痛は、閉経前女性では8.0%で、閉経前または閉経前後(ともに12%)に比べて少なかった。
「片頭痛は生理中に悪化する傾向があるため、この結果は逆説的に思われるかもしれない」と、米国アルベルト・アインシュタイン医学校神経学教授でモンテフィオーレ頭痛センター長のRichard B. Lipton教授は述べている。「私たちは、生理中のエストロゲンの減少と、更年期のエストロゲンの低いレベルのどちらも、片頭痛を引き起こすトリガーになっていると考えている」。これらの結果から、女性の片頭痛はホルモンバランスの変化によるものと考えられ、ホルモンから見た新しい治療法の開発につながることが期待されている。
現在のところ、片頭痛の原因は頭部の血管の拡張、または三叉神経の刺激によるものという説が有力。治療薬としては、解熱鎮痛薬のアセトアミノフェン、非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)、血管と神経に作用するトリプタン系薬剤、症状を抑える制吐薬が主流となっている。