ダイエット中の男性に男性ホルモン追加で効果良好
2016.04.6
国際部
中年の肥満男性へのテストステロン治療の効果が、アメリカ・ボストンで4月1~4日に開催された第98回米国内分泌学会議(ENDO 2016) で発表された。
中年男性のダイエットでは通常、体重とともに筋肉も失われることが問題だった。しかし、ダイエットにテストステロン治療を追加することで、脂肪は減っても筋肉は維持できる可能性があることを、新しい研究は示唆した。
テストステロンは、中年期に減少することで男性更年期障害の原因ともなるといわれている男性ホルモンの一種。中年の肥満男性ではその約40%でテストテトロンの減少が確認されているという。今回の研究を発表したオーストラリア・メルボルン大学のMathis Grossmann准教授は「低テストステロンで肥満の男性におけるテストステロン治療が、ダイエットによる内臓脂肪量減少効果を増強し、除脂肪量の減少抑制効果を初めて示した」と述べている。
Grossmann准教授らは、低テストステロンの肥満男性100人(20-70歳)を対象に、臨床試験を実施した。対象者のうち20%が糖尿病、10%が心臓病を持っていた。実験最初の10週間は全ての参加者に1日当たり600キロカロリーの厳しい食事制限を課した。また、アルコールを控え、30分以上の軽い運動をすることを勧めた。11~56週の食事はオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)推奨の体重維持ダイエット食とした。56週のうち10週ごとに、49人の男性はウンデカン酸テストステロンの筋肉注射(1000mg)を受け、51人の男性はプラセボ(偽薬)注射を受けた。
最終結果では、両グループとも約11キロの減量に成功していた。しかし、テストステロン注射のグループでは脂肪のみ、プラセボ注射のグループでは脂肪と筋肉の両方を失っていることがわかった。テストステロングループの男性はプラセボグループの男性に比べ、脂肪が3キロも多く減少していることが確認された。