歯周病罹患でがんリスク上昇
2018.01.25
国際部
重度の歯周病の罹患とがんリスクに関連があることを示した研究成果が1月18日、米ジョンズ・ホプキンス・ブルームバーグ公衆衛生学校(Johns Hopkins Bloomberg School of Johns Hopkins Kimmel Cancer)からプレスリリースされた。研究の詳細は「Journal of the National Cancer Institute」オンラインに掲載された。
今回の研究は、アテローム性動脈硬化症の研究であるARIC試験参加者の7466例のデータを用いて行われた。その結果、重度歯周炎を持つ参加者は、軽度から中等度の歯周病の参加者と比較してがんを発症する相対リスクが24%多かった。最も高いリスクは肺がん、次に高いリスクは結腸直腸がんで見られた。乳がん、前立腺がん、血液がん、リンパ性がんと歯周炎には関連性がなかった。研究者らは「歯周病の原因となる細菌は、口から肺、口から結腸に直接移動する可能性がある」とし、歯周病とがん発症のメカニズム解明のきっかけになることを期待している。
歯周病を発症する可能性が高い喫煙者でも肺がん、大腸がんリスクが高いことが示された。また、歯科検診、大腸内視鏡検査などのがんスクリーニング、禁煙予防プログラムなどのヘルスケアを受ける機会の少ない人でも歯周病とがんのリスクが高くなっていた。しかしこれらの結果は、歯周病とがん発症のメカニズムを説明するものではなかった。