ビタミンD補給は高齢者の骨密度を改善しない
2019.01.31
国際部
ビタミンD摂取量と高齢者の骨の健康との関係を調査した報告が1月8日、「The American Journal of Clinical Nutrition」オンラインに掲載された。
この試験は、イングランド北東部在住の70歳以上の成人379人(女性48%、平均年齢75歳)を対象にして行われた(EudraCT 2011-004890-10、ISRCTN35648481)。対象者は月に一度、12,000IU、24,000IU、48,000IUのいずれかの量のビタミンD補給を受けた。主要評価は、股関節部の骨密度(BMD)の変化。副次評価は、大腿骨頸部のBMD、転倒回数、副甲状腺ホルモン量、骨代謝回転マーカー、および有害事象に対する用量効果だった。
その結果、ベースラインでの平均血漿25-ヒドロキシビタミンD [25(OH)D]濃度は40.0±20.1 nmol/Lだった。試験開始の12カ月後には12,000IUグループで55.9 nmol/L、24,000IUグループで64.6 nmol/L、48,000IUグループで79.0 nmol/Lに増加した。BMDにグループ間の差はなかった。副甲状腺ホルモン濃度は3つのグループ全てで減少し、12,000IUグループと比較して48,000IUグループで有意に大きい減少を示した。グループ間で有害事象に差はなく、3例の高カルシウム血症、1例の腎結石症、および249例の転倒が報告された。この結果から、ビタミンDの補給がBMDの改善と直接関係しないことが示唆された。