大手・中小問わず企業にパワハラ防止を義務付け
2019.11.26
編集部
これまで、企業の自主的な取り組みに委ねられてきたパワハラ対策が大企業で来年(2020年)4月から、中小企業が3年後の2022年4月から防止措置をとることが法律「女性活躍・ハラスメント規制法」で義務付けられることになった。また、厚生労働省は、パワハラの6累計(表参照)を明示したパワハラの定義や防止策の具体的内容を盛り込んだ指針をまとめた。
指針は「パワハラを優越的な関係を背景に業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により就業環境を害する」と定義。
パワハラの六類型として暴行や傷害などの「身体的な攻撃」、遂行不可能な仕事を強制する「過大な要求」、仕事を与えない「過小な要求」、私的なことに過度に立ち入る「個の侵害」などを挙げた。6類型の該当例に「人格を否定するような言動」「長時間にわたる厳しい叱責を繰り返す」「同僚が集団で無視し、孤立」などを列挙。
該当しない例には「社会的ルールを欠いた言動を再三、注意しても改善されないと一定程度強く注意」「新卒者の育成のため短期間、集中的に別室で教育」などを盛り込んだ。また、企業側に相談窓口の設置やパワハラを行ってはならないと就業規則などで明確化することやプライバシー保護や相談を理由に不利益な取り扱いをしないことなど社内規定の整備などを義務づけた。
取り組まない企業には、厚生労働省が行政指導で改善を求めるほか、悪質な場合、企業名を公表する。
企業側にパワハラ、セクハラ等を法律で規制することになったのは、年々、相談件数が増え続け社会問題として放置できない状況になってきたことが主因。
2018年度にパワハラ、セクハラなど職場でのいじめ、いやがらせ等をめぐって全国の地方労働局などに寄せられた相談件数は、前年度比14.9%増の8万2797件と過去最高(厚生労働省調査)を更新した。しかし、この数字は、表立ったもので、表面化していない数字を含めるとゆうに年間10万件を超えると推計され、泣き寝入りしているケースもみられる。
「ブラック企業」の汚名をとる美容業界を含めて企業規模・事業規模、業種等を問わず企業に等しく義務を科すパワハラ問題、子供のいじめ問題ならず「大人のいじめ解消」や「働く人を守る」ことにつながるか、企業側の真剣な取り組みに期待が膨らむ。