皮膚レーザー治療機器の「ほこり」分析結果
2020.10.23
国際部
皮膚科レーザー治療器の吸引チューブ内のほこりの粒子を分析した結果が10月20日、「Lasers in Medical Science」オンラインに掲載された。
特に美容皮膚科の分野では、ここ数十年でレーザーの使用が爆発的に増加した。治療の際に皮膚組織がレーザーで気化されると、感染症を含む多くのリスクの原因ともなる潜在的に有害な物質を放出する。レーザー治療機器に付属する排気装置はレーザープルームを捕捉してろ過するデバイスであり、手術チームと患者の安全な環境を維持している。今回の研究では、この排気システムの吸引チューブ内の微生物叢を分析し、その病原性を特定した。最初の手順として、綿棒で器具からほこりの粒子を集めた。綿棒と輸送培地からDNAを抽出し、イルミナHiSeq X platformを使用してシーケンスを実行した。メタゲノミクス分析には、Empowering the Development of Genomics Expertise(EDGE)BioinformaticsパイプラインとカスタムPythonスクリプトを使用した。
分析の結果、最も豊富な細菌種は吸引チューブではMicrococcusluteusとBrevibacteriumcasei、およびDermacoccussp、吸引漏斗ではEllin185とJanibacterhoyleiだった。中~高品質のメタゲノムアセンブリゲノム(MAG)15個が構築され、104の抗生物質耐性遺伝子(ARG)と741の病原性因子が見つかった。これらの結果から、吸引チューブと漏斗が病原性因子遺伝子と抗生物質耐性遺伝子の”貯蔵庫”である可能性が高く、水平伝達を介して伝染する可能性があることが示された。研究者らは「これらの微生物がもたらす健康リスクと、排煙システムに関する現在の衛生基準を再評価する必要性を強調したい」と述べている。