花王、吸水後の紙おむつが幼児の歩き方に与える影響について発表

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2021.06.16

編集部

花王株式会社(東京都中央区)サニタリー研究所とパーソナルヘルスケア研究所は、日本赤ちゃん学会第21回学術集会(2021年6月11~13日・オンライン開催)において、紙おむつの着用が幼児の歩き方にどのような影響を与えるのかを検討した結果、特に吸水後の紙おむつによって脚の内もも部分が押されて股関節が開き、重心の揺れが大きい不安定な歩き方になることを見出した、と発表した。

同社は、ベビー用紙おむつ開発のためさまざまな視点から研究に取り組んでおり、2011年より行なっている、幼児のすこやかな発達をモニタリングするために重要な指標となる歩行の研究もそのひとつ。2020年には、モーションキャプチャ技術を活用することで、幼児の歩行が月齢とともにどのように発達するのかを明らかにし、さらに紙おむつの着用が、歩行中の歩隔※1や重心の揺れに影響を与えるとの知見を得ている※2。

今回は、さらに、モーションキャプチャ技術を駆使して詳細な脚の動きを骨格視点から観察し、紙おむつが歩行に影響を与える要因について研究した。なお、同研究は、十条こどもクリニック 岩崎博之医師、順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科 内藤久士教授、上海体育学院 陸大江教授の指導、協力のもと実施した。

まずは、紙おむつが吸水後に膨らむことで幼児の脚の内もも部分に圧力がかかり、歩行に影響を与えているのではないかと仮説を立て、可動式ベビーモデルに紙おむつサンプルを装着させ、脚の付け根付近に圧力センサーを配置し、両脚がそろった状態(歩行時に両脚がちょうどすれ違う時を想定)において紙おむつが内もも部分に与える圧力を測定した。吸水前の紙おむつAに対し、吸水後の紙おむつA+では圧力が約4倍、構造が異なる吸水後の紙おむつB+では約8倍の圧力を示した。

続いて、月齢18~20カ月の幼児26名に、上記3つの紙おむつサンプル(A、A+、B+)をそれぞれ着用した状態と非着用の状態で3歩行周期(6歩に相当)以上歩いてもらい、モーションキャプチャ技術によって両脚がちょうどすれ違う時の前額面股関節角度※3(図1)を測定。

歩行状態の解析の結果、吸水前の紙おむつ(A)は、非着用の状態に対して有意な差はなかったが、吸水後の紙おむつ(A+、B+)は、歩行時に股関節がより外側に開くことがわかった。さらに、紙おむつが内もも部分に与える圧力が高いほど、その開き具合が大きく、股関節角度に影響することがわかった(図2)。

以上のことから、着用した紙おむつが吸水して膨らむと、脚の内もも部分を押す力が生じて股関節が外側に開き、その結果、歩行時の歩隔が広がり、重心が左右に揺れやすくなるとの知見を得た。

※1 歩く時の左右の足の横方向の間隔
※2 2020年10月9日ニュースリリース:モーションキャプチャ技術で幼児の歩行発達メカニズムを解明
※3 ヒトを正面から見た時、骨盤と垂直な軸に対する大腿骨の開き具合の角度のこと

参考リンク
花王株式会社

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