高齢者の認知力低下は差別体験と関連

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2022.08.4

国際部

2022年Alzheimer’s Association International Conference(R)(アルツハイマー病協会国際会議(R))がアメリカの加州サンディエゴで1日に開催され、高齢者の記憶力低下と認知力低下と差別的体験との関連性についての研究が発表された。レポートの一つとして、カリフォルニア大学デービス校公衆衛生科学学部助教授(疫学)のKristen George博士のグループは、構造的、対人的、制度的な人種差別の体験は、中年と老年期の記憶スコアの低下と認知の悪化に関係しているという研究結果を明らかにした。

George博士の研究チームは、68人の参加者(20.5% アジア系; 21.8% 黒人; 14.5% 中南米系; 35.7% 白人; 7.5% 多民族)を対象に平均1.2年にわたり3つの認知評価を完了した。参加者の登録時の平均年齢は93歳だった。参加者は、アンケートを介して主要な生涯差別の経験を報告し、その回答に基づき以下のようにグループ化された。

◆グループ1は、職場での差別(不当に解雇された、雇用されていない、昇進していない)を報告。グループはほとんどが白人男性で構成。
◆グループ2は、生涯にわたってほとんど、ないし全く差別を報告していない。グループは白人女性とアジア系、黒人、中南米系の高齢者で構成。
◆グループ3は、いくつかの分野(職場、金融、住居など)で差別を経験したと報告。グループはすべて非白人。

研究者は、グループ1(職場差別)の参加者は、グループ2(差別なし)と比較して、実行機能と意味記憶の領域におけるベースライン認知レベルが高いことを発見した。グループ3(広範な差別)は、グループ2と比較して、意味記憶がベースラインでより悪かった。全グループでは、時間の経過による認知低下に差がなかった。

George博士は「これらの調査結果は、最高齢者の間で、認知機能の不平等が生涯にわたる主要な差別の体験を説明した後も持続することを強調している。このグループの信じられないほどの長寿にもかかわらず、差別は認知の健康に消えることのない影響を与えており、最高齢者は依然、健康格差の解消、是正の取り組みの恩恵を受ける立場にある」と述べている。

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