パナソニック、川重が医療ロボット販売
2013.11.14
編集部
パナソニックと川崎重工業は、人手に代わって病院内で、薬剤の調合や検体を自動搬送する「病院内ロボット」を実用化し、相次いで販売を始めた。看護師や検査技師などの本来業務を妨げて負担となっていた間接業務を効率化するのが狙い。パナソニックは、2014年度売上高5億円、川重は、2機種合わせて年間250台の販売を見込む。
パナソニックが実用化した院内ロボット「HOSPI®(ホスピー)」(商品名=下記写真)は、事前に入力した病院建物の地図情報をもとに、適切な走行経路を自分で計画して走行する自律制御機能を持つ。走行途中で患者や車椅子などに遭遇しても高性能な障害物検知センサシステムで回避し、目的地に辿りつく。また、IDカードによるセキュリティを確保した収納庫を搭載し、一般薬品に加えて血液検体、尿検体などを搬送することができ従来の搬送機械設備(エアシュータや軌道台車)に比べ、導入費用が4分の1から1分の1程度、メンテナンス費用が5分の1程度に抑えられる。
ホスピーの開発・製造は、パナソニック プロダクションテクノロジーが担当。販売は、パナソニックシステムネットワークスが担当し、10月から大学病院、公立病院向けなどに販売を始めた。販売は、ロボット2台を標準とし、多層階病院導入時の費用が6,000万円から。
産業ロボットを得意とする川重も院内ロボット(医療ロボット)分野に参入した。実用化した医療ロボットは、アルミ製の「MC004」(可搬重量4キロ、価格380万円)とステンレス製で可搬重量5キロの「MS005N」(写真、価格500万円)の小型垂直多関節ロボット2機種。いずれの機種もロボット先端に物体をつかむハンドルを付け調剤の作業ミスや微生物混入、薬剤の人体被害を抑える構造になっている。また、防水性、薬剤耐性を高めて洗浄しやすくした。同社の明石工場で生産し、11月から製薬工場向けに販売を始めた。
同社は、今年10月にシスメックと共同で医療ロボットのマーケティング会社「メディカロイド」を設立し医療ロボットの開発、販売で手を組んだ。
このたび両社が医療ロボット分野に参入したのは現在、薬剤の調合や検体の院内搬送について看護師や検査技師などの業務が大きな阻害要因となっていることに着目。病院経営の健全化や医療看護サービスの質の向上、間接業務の効率化を図ることを狙って進出した。
同分野には、村田機械も本格参入すると見られ今後、医療ロボット市場が一挙にヒートアップするのは必至の情勢だ。