体外受精の成功率を2倍以上にするビタミンDの効果
2014.08.19
国際部
カルシウムの吸収を助けることから、成長期の子供や高齢者の骨粗しょう症予防に必要とされているビタミンD。このビタミンDが十分に足りている女性では、体外受精の成功率が2倍以上というイタリアの研究者による報告が8月14日、「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」オンライン版に発表された。
18-42歳で体外受精を行った女性を対象に、ビタミンDと体外受精の成功率の関連を調査した。ビタミンDの量は、25-OHビタミンDの血清濃度を計測し、20ng/mL未満をビタミンD不足とした。その結果、妊娠率はビタミンD不足の女性で20%、ビタミンD充足の女性で31%、調整後のオッズ比は2.15と計算された。また、血清濃度30ng/mL超の女性で、高い妊娠率が確認された。研究者らは、今後の調査が必要としているものの、ビタミンDが女性の不妊治療と体外受精の結果に影響すると述べている。
ビタミンDは魚介類に多く含まれており、日光にあたることで体内でも生成できるビタミンとして知られている。魚介類の摂取が減少し、積極的な日光浴の機会も減少した現代の日本では、慢性的に不足しているビタミンとも言われている。昨年、国立環境研究所と東京家政大学の研究チームは、1日の必要量をすべて体内生成に頼るとしたら、紫外線の弱い12月の正午の設定では那覇で8分、つくばで22分、札幌で76分の日光浴が必要という結果を発表している。
また、新潟大学の研究では、80歳で20歯以上保有している人(8020運動)は、20歯に足りない人に比べビタミンDの摂取量が少ないことを報告しており、これまで知られていなかったビタミンDのさまざまな効果に期待が持てそうだ。