躁うつ症状にヨガで治療の可能性
2014.09.19
国際部
ヨガは、双極性障害にも効果があるかもしれないという研究成果が、「Journal of Psychiatric Practice」9月号に掲載された。双極性障害は、かつて躁うつ病と呼ばれていた疾患で、躁状態とうつ状態という2つの気分が激しく変動するもの。
研究を行った、米国ブラウン大学のLisa A. Uebelacker博士らは「一部の双極性障害患者は、ヨガからポジティブな影響を受けたと考えている」述べている。しかし、今回の研究では、症状が悪化するリスクも指摘された。
ヨガを実践する109人の双極性障害患者対象の調査で、ヨガを行った時の気分などについてオンラインで回答してもらったところ、86人から回答を得、うち70人はプラスの効果があると答えた。回答者は、平均6年のヨガの経験があり、週2回のヨガクラスへの参加、週3回の自宅でのヨガを行っていた。また、回答者の3分の2は柔軟性の改善、すとれ合うや不安の軽減のためにヨガを行っていた。ほとんどの参加者がヨガは心の健康に良いと答え、3分の2の人では躁うつ状態や軽いうつ状態の時に良い影響を与えることを感じていた。
しかし回答者の4分の1は、ヨガを行うことでのマイナスの効果を報告していた。ケガや痛みのほか、9%の人は双極性障害の症状に悪影響を与えたと回答した。悪影響は、ヨガのあとでのうつ症状の増加や無気力、また抗精神病薬などの服用者ではホットヨガ中に症状悪化の懸念があるとしていた。
米国でヨガを行っている人は、成人の約5%。多くはハタ・ヨガ(hatha yoga)で、心身の自己変革を求めて始める人が多いという。研究者らは、ほとんどの双極性障害の人に良い影響があるヨガだが、リスクがないわけではないと述べている。また今後は、このリスクも踏まえながら、双極性障害に対する治療の一つとしてのヨガの可能性についての研究を進めていくという。