遺伝子検査に700社強参入、経済産業省、新産業として振興

最新商品

2014.10.29

編集部

経済産業省は、血液や唾液などの生体試料を解析し、糖尿病、痛風、リウマチなどの疾病罹患リスクをはじめ、肥満、アルコール代謝、肌質、髪質などの体質や知能、音楽、記憶力、血縁関係などの能力について判定・評価する遺伝子検査ビジネスを新しい産業として育成する。このため、業界団体のNPO法人個人遺伝情報取扱協議会などと連携して自主基準の順守を図るよう参入企業などに対して奨励し、遺伝子検査ビジネスの健全な発展に繋げる。また、同協議会は、遺伝子検査の順守基準に諮った認定制度を導入する方向で検討を始めた。

消費者とインターネットなどで検体採取キットや検査結果を直接取引(DTC=Direct To Consumer) する個人対象の遺伝子検査ビジネスが急速に広がり、現在、参入企業数は、化粧品、受託検査機関、美容サロン、薬局・薬店、美容整形など738事業者(経済産業省2012年度実態調査)にのぼる。最近では、ヤフー株式会社(東京都港区)、株式会社ディー・エヌ・エー(東京都渋谷区)などのネット企業が参入、年々、新規参入が増加傾向にある。表に遺伝子ビジネスに参入した化粧品メーカーを示す。
表

 

 

 

 

 

こうした遺伝子検査ビジネスの実態や問題点などを探る目的で、経済産業省は2012年度と2013年度の2回、民間に委託してDTC遺伝子検査ビジネスの実態や「検査の質をいかに担保するか(分析の質の担保)」「科学的根拠をどう担保するか(科学的根拠)」「情報提供をどう適切に行うか(情報提供の方法)」などの課題について第3者による専門委員会での議論を含め、業界に対するガイドライン策定(業界指針)を検討した。しかし、すでに業界団体のNPO法人個人遺伝情報取扱協議会(会員26社)や遺伝子学会などが遺伝子鑑定、体質遺伝子検査、受託解析などの自主基準を制定していることから、経済産業省は「業界団体の同協議会が現在の自主基準を順守し、必要に応じて基準を見直しながら健全な産業に発展することが望ましい」として、新たに業界指針や法制化を行わない考えを示した。

現在、経済産業省は、遺伝子検査ビジネスの健全な発展を通じて新産業として振興して行く方針で、個人情報保護ガイドラインの観点から業界自主基準の尊守や消費者への啓発を始めている。

こうした中、NPO法人個人遺伝情報取扱協議会は、自主基準に諮った会員企業の認定制度導入に向けて検討に入った。検査方法や科学的根拠、サービスの提供法などについて企業認定を行い、消費者からの信頼と業界の発展に繋げる。

ネットによる遺伝子検査ビジネスが発展しているアメリカでは、消費者の検査データに対する科学的根拠よりも検査データの個人情報が医療機関に売買するネットビジネスが活発で、個人情報の保護が大きな問題になっている。今後、日本でも同様な事態が生じる懸念がある。

#

↑