産学官でハラル認証コスメ共同開発、認証取得が加速化(下)

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2015.07.29

編集部

img01_183産学官の合従連衡でイスラム向け化粧品を開発する動きも見られる。中東をはじめとしたイスラム圏の化粧品市場への参入を支援するため埼玉県は、城西大薬学部、それに県内に生産工場(写真右)を置く石田香粧株式会社(東京都台東区)、株式会社コスメサイエンス(埼玉県朝霞市)の4者が共同戦線を組み、イスラム向け化粧品を開発した。

県の補助金計約300万円を受けて石田香粧は、クレンジング、化粧水、UVクリームを開発。また、北海製缶子会社のコスメサイエンスは、クレンジングジェル、オールインワンジェル、BBクリームを開発した。
石田香粧とコスメサイエンスの2社が開発した化粧品は植物由来のゼラチンなどを使用。また、イスラム教徒が1日5回、聖地メッカの方角に向かって祈りをささげる際に化粧を落とす習慣があるため、水がなくても落とせる化粧品サンプルの開発を目指した。
2社は、2015年度中に国内で開かれる海外バイヤー向けの化粧品展示会に出品し、国内のイスラム教徒の需要を開拓する。また、東京五輪が開催される2020年をメドに日本国内の認証機関2団体でのハラル認証を目指す方針。

埼玉県が合従連衡を組んでイスラム向けコスメを開発したのは、県内に現在、化粧品メーカー約250社の製造工場があり、2014年の化粧品生産額が1,897億円、2015年1,965億円といずれも国内生産額の14%以上を占めるなどコスメ集積度が高い。
このため、イスラム向けコスメの共同開発を促進することで、新たな需要を開拓し、県内のコスメ生産額をさらに拡大するのが狙い。

すでにイスラム教徒の数は、世界人口の約4分の1を占め、その数は16億人に達した、2030年には、イスラム人口が20億人を突破するとの観測もある。女性のコスメ需要もマレーシア、インドネシアを中心に増加し、そのパイを巡って世界の大手、中小を問わず化粧品メーカーが一斉になだれ込んでいる。また、日本国内にあっては昨年、初めて海外旅行客が年間1,000万人を突破した。そのうち、今後、2020年の東京オリンピック開催時には2,500万人に増える見通し。
当然、イスラム圏からの観光客を取り込むことは、コスメ業界各社にとって重要なポイントになる。昨年は、マレーシアからの観光客が17万7,000人(前年比約36%増)、インドネシアからの観光客も13万7,000人(約35%増)となるなどイスラム認証コスメの充実による顧客取り込みは欠かせない。今後、新たなコスメ需要を囲い込むためにハラル認証コスメを取得する動きが一段と鮮明になろう。

参考リンク
石田香粧株式会社
株式会社コスメサイエンス

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