ヤマトトウキ葉を使ってユニークな商品を開発

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2015.08.18

編集部

yamatotoki農業生産法人有限会社ポニーの里ファーム(奈良県高市郡高取町)では、20~30代の若者が中心となってヤマトトウキの葉(写真右)を栽培し、次々とユニークな商品開発を行なっている。広報担当の保科政秀さんは、「農家では高齢化などの問題を抱えているが、薬草という切り口から若手が踏ん張って収益を上げて、雇用を生み出していきたい」と意欲を示す。

同社は、「NPO法人ポニーの里をつくろう会」が前身で、乗馬セラピーの普及活動を中心に行なってきた。また、障害者就労支援や在宅介護支援なども手がけており、2006年に現在の有限会社を立ち上げた。農産物の販売・加工や、農村交流イベントなどを通じて、地域農業の発展と、若者・障害者などの雇用促進・受け皿になることを企業理念として掲げている。

農産物としては、もともと青ネギを中心に栽培していたが、4年前に奈良県からヤマトトウキの苗を譲り受け、高取町の休耕地を使って本格的な栽培をスタートさせた。同町ではその昔、推古天皇が薬狩りをしたとされる言い伝えがあるほか、昭和の時代から製薬メーカーが軒を連ねていたこともあり、生薬とはゆかりのある地となっている。

同社のヤマトトウキは、野地栽培による完全無農薬。4月に種をまいて1年かけて苗を育て、定植して葉を刈り取っていく。現在は、同県果樹・薬草研究センターなどと共同で、苗の育成期間を半年に短縮するための研究開発も実施。具体的には、昨年11月にハウス栽培をスタートさせ、今年の春と夏に葉を収穫、今秋にも収穫を予定している。

今年、定植したものは1万株にものぼり、栽培は順調。「余った株は近隣の農家に譲って栽培してもらっている。後にそれを買い取る予定で、農家の収益にもつながっている」(保科氏)という。

image5同社のヤマトトウキは、国から6次産業化認定を受けており、『やまとたかとり やくぜん食房』という自社ブランドで展開している。具体的には、ヤマトトウキの葉を使ったお茶『焙煎大和当帰葉茶』(写真左)と、トウキ葉入りハーブソルト『香塩』の2種類をラインナップ。『焙煎大和当帰葉茶』は、トウキの葉自体に身体を温める効果が期待されるため、冬場に30代女性を中心によく売れるという。お茶として使い終わった「出がらし」は、お風呂の入浴剤代わりにも使用可能だ。

kaorijio_2『香塩』(写真右)は最も人気のある商品で、乾燥させたトウキ葉を粉末状にして岩塩や西洋ハーブとブレンドして作り上げた。「焼き鳥の塩コショウ代わりになるほか、パスタやサラダに振りかけて使うこともできる」(保科氏)。今後は、奈良県内の材料をブレンドした和風の『七味』を計画している。

また、トウキ葉を使った新商品として、パスタソースに使うことができる「ジェノベーゼ」のほか、同町や製薬メーカーなどとコラボしたブレンド茶(ヤマトトウキ、ハブソウ、葛の花、ハトムギ、ほうじ茶、黒豆)、レストランなどとコラボした新商品などの開発も行なっているところ。

このほか、漢方薬として使用されているトウキの根についても商品開発を進めており、根と葉をブレンドした入浴剤「バスソルト」を10月にも販売予定。今年1月にスキンケアデザイナーを招いて「大和当帰葉のバスソルトをつくろう」と題した薬草ワークショップを開催しており、これが好評だったため、商品化を進めることにした。

現在、同社の商品を購入するには、直接訪問するか電話で注文するしか方法がないが、10月下旬~11月にネットショップを立ち上げる予定で、それに併せて新商品の販売も開始していく考えだ。

薬草の栽培については、ヤマトトウキのほかにヨモギも手がけており、『焙煎よもぎ茶』として製品化済み。ヨモギにはリラックス効果もあるとされており、「エステサロンで施術を受けた後に飲むドリンクとしても使われている」(保科氏)という。過去に薬草ワークショップの中で「もぐさづくり体験」を実施したことがあり、その経験から今後は、塩を使ってお灸する「塩灸」の販売も計画している。

参考リンク
農業生産法人有限会社ポニーの里ファーム

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