カラーリング剤とアレルギー問題(中)~厚労省、アレルギーを起こす化学物質の規制踏み込まず~

最新商品

2015.10.29

編集部

色素で髪の毛の表面に色をつける「ヘアマニキュア」や毛の色素を脱色する「ブリーチ」、脱色した上で毛髪の中まで色素を浸透させる「ヘアカラー」のいずれもが化学物質PPDの毒性に悩まされ、それを使用する多くの女性の人体内部にも影響を及ぼしている。

カラーリング剤によって頭皮や顔面にアレルギー性の皮膚炎を発症する人がこの5年間で約1,800名にのぼる実態を受けて、厚労省と消費者庁は化粧品・毛髪メーカーに対し、商品パッケージに皮膚炎の危険性を表示することを通達。同時に、アレルギーの発症を判別するため、バッチテストの実施を事業者・消費者双方に求めた。

この通達を受けて化粧品・カラーリング剤各社は、商品パッケージの側面などに注意書きを記載し、注意喚起を促す一方、消費者に対してヘアカラーの使用前に試料を使ったオープンテストやバッチテストを励行し、判定した上で購入・使用するよう呼び掛けている。

オープンテストやパッチテストは、カラーリング剤を綿棒などで少量、腕につけ皮膚への影響を確認する方法。遅延型アレルギー症を判別するパッチテストの場合、アレルギー反応の結果が出るまで48時間かかる。パッチテストによるアレルギー結果に時間がかかるため、消費者はテストを敬遠勝ちだ。
また、消費者のみならず染毛剤(カラーリング)を常時使用するヘアーサロン・理髪店など理美容を専門職とする理美容師の間でPPDによるアレルギー被害が広がる傾向が強い。

ヘアカラー剤のアレルギー症状、ヘアカラー剤中に使用毛染めによる皮膚障害は、過去5年で年154~238件起きているが、大部分が酸化染料を含む染毛剤によるアレルギーが原因。手にアレルギーを発症した写真を示す。

消費者庁は「最近の症状の傾向として仕事に行けないなど生活に差し障るケースも起きている」として事態の深刻さを説く。

色素で髪の毛の表面に色をつける「ヘアマニキュア」や毛の色素を脱色する「ブリーチ」、脱色した上で毛髪の中まで色素を浸透させる「ヘアカラー」のいずれもがPPDの毒性に悩まされ、それを使用する多くの女性の人体内部にも影響を及ぼしている。

このようなカラーリング剤に使用が認めている化学物質「パラフェニレンジアミン」(PPD)をはじめ「アミノフェノール」や「レジルジン」「パラアミノフェノール」などを厚労省自らが認可し続けていること自体、大きな問題点といえる。

厚労省は、カラーリング剤が登場した1942年以降、約70年間にわたって一度もカラーリング剤に使用している化学物質の規制を実施してこなかった。

今回のアレルギー発症についても「アレルギーには、個人差がある」として化学物質の規制に踏み込まなかった。しかし、毒性や安全性を脅かす化学物質の使用禁止を含めて真剣な検討が早急に望まれる。

#

↑