運動代わりになる薬の開発に一歩前進

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2017.04.28

国際部

1粒で運動と同じ効果をもたらすことが可能な夢の薬に私たちは一歩近づいたのかもしれないという研究が、4月22-26日にシカゴで開催の「実験生物学会議2017」で行われた「米国生理学学会総会」で発表された。

ミオスタチンのレベルを下げることができれば筋肉の成長は促進されるというのは、アスリートやボディービルダーによく知られている。また、ミオスタチンタンパク質の産生を抑制することで、筋肉が増強され、心臓および腎臓の健康マーカーが大幅に改善されることはマウスの実験で示されている。今回の研究を主導した米国オーガスタ大学の血管生物学センターのJoshua T. Butcher博士によると、肥満の人はより多くのミオスタチンを産生し、筋肉量を増やすことが難しい状態になっているという。「運動が肥満の最も効果的な介入の1つであることを考えると、これは人が肥満から抜け出せないサイクルに入っている」。

肥満は高血圧、高コレステロール、インスリン抵抗性および腎障害などの心臓病および糖尿病のリスクを増加させるさまざまな要因と関連している。研究者らは、無限のミオスタチン産生を伴う痩せおよび肥満マウスと、ミオスタチンを産生できない痩せおよび肥満マウスのそれぞれ4グループのマウスを飼育した。その結果、ミオスタチンを産生することができないマウスでは筋肉量の顕著な発達が見られた。ミオスタチンを産生することができない肥満マウスは、心血管および代謝の健康のマーカーは痩せたマウスと同等で、ミオスタチン産生を伴う肥満マウスよりも劇的に良好であった。

ミオスタチンを産生できず、筋肉量が多くなった肥満マウスでは、肥満にもかかわらず、これらの疾患のいくつかが予防されているように見えるとButcher氏は述べ、 「より多くの研究が必要である一方で、この時点では、ミオスタチンは、肥満由来心筋代謝障害に対する保護のための非常に有望な経路である。最終的には、運動の効果を模倣することで、肥満を予防する薬をつくることになるだろう。ミオスタチンを阻害する薬剤は、癌、筋ジストロフィー、エイズなどの筋肉消耗疾患にも応用できる」と今後の可能性にも触れた。

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