日本漢方協会の学術大会、研究発表にも注力

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2017.11.20

編集部

一般社団法人日本漢方協会(会長・今井淳氏)の第37回漢方学術大会が19日、都内で開催され、各分科会の活動報告7題をはじめ、一般発表9題、一言治験例3題などが発表された。分科会については、今年から新たに薬用植物栽培と漢方食養生が発足した。

同協会は昨年から一般社団法人化することで、漢方に関する研究にも注力するようになった。今回の大会においても、薬局製剤分科会による「紫雲膏の製造における温度の検討」、一般発表による「桂枝茯苓丸の剤形によるLPS(リポポリサッカライド)含量の違い」などといった学術的内容も見受けられた。

紫雲膏については、一般的には軟膏の安定性、紫根の成分抽出、脱色防止などのため、ごま油を220~230℃の高温にして重合させる方法が良いとされる。今回の発表では、ごま油を80~90℃の低温で製造した場合との比較検討を行った結果、例えば、美容効果もあるとされるゴマ油成分のリグナンの効果を発揮するには低温法が良いなとど、低温法のメリットも見出すことができた。

LPSについては、ホメオスタシス維持に重要な役割を果たしている可能性があることが知られている。当日行われた新潟薬科大学健康・自立総合研究機構の杣源一郎氏の特別講演においても、LPSは漢方薬の原料生薬に多く含まれていることが指摘された。

「桂枝茯苓丸の剤形によるLPS含量の違い」においては、女性の月経痛などによく使われる桂枝茯苓丸を取り上げ、エキス剤、煎剤、丸剤、散剤によるLPS含有量の違いについて検討。成分生薬1g当たりのLPS含有量は丸剤が最も高い上、丸剤は少ない生薬量で多くのLPSを含んでおり、LPSに関して最も優れた剤形という報告がなされた。

参考リンク
一般社団法人日本漢方協会

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