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日焼け止め剤へ応用期待の植物メドウフォーム

油糧種子作物の廃棄物から皮膚の日焼け止め化合物を産生した試験結果が5月7日、「Frontiers in Pharmacology」に掲載された。今回の試験は米国オレゴン州立大学の研究者らによるもので、綿実、オリーブ、ピーナツなど食用または家畜飼料用に用いられる油用種子の中でも、太平洋岸北西部で広く栽培されているメドウフォーム(Meadowfoam)を対象とした。米国では1日におよそ1万人が皮膚癌と診断されていることから、今回の発見には大きな期待が寄せられているという。また、長期間にわたる日光への曝露は、皮膚の老化を引き起こし、たるみおよびしわの原因としても対策すべき重要な問題となっている。

メドウフォームは、開花時にはクリーム色の白い花をつけるフクロウソウ目リムナンテス科の植物。アブラナ科植物に多く含まれるグルコシノレート(glucosinolate)と呼ばれる化合物を含み、その誘導体は抗がん作用および日光保護特性を有することが示されている。メドウフォーム・オイルは工業用途に適しており、シャンプーや化粧品にも使用されている。

今回の試験では、培養プレートに3D再構築技術によって作製されたヒト皮膚にメドウフォーム・オイルを塗布し、紫外線B波を照射して観察した。その結果、皮膚コラーゲンの分解に関与する二つの酵素を阻害すること、前がん細胞の数を減少させること、がん発症の初期段階に起こることが多い臓器や組織の肥大化を抑制することの3つの作用が確認された。研究者らはこの結果から、メドウフォーム・オイルのスキンケア製品への応用を期待している。

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橋本奈保子

顧問記者(国際情報、薬事・医療ニュース)

名古屋大学大学院、英国Durham University, Graduate School 卒。編集者、ライターを経てフリージャーナリストとして独立。専門分野は、医学・化学関連。また、同分野を中心に翻訳、ウェブコンテンツ・ディレクターとしても活躍中。 本誌では主に、米国欧州を中心に先端美容医療、化学、米FDAなどの情報を担当。

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