【連載】大手化粧品会社の研究(55)ビタミンC60バイオリサーチの会社研究 ~三菱商事、子会社で化粧品フラーレン事業取り組む、6種類販売~(上)

2018.10.15

特集

編集部

三菱商事株式会社(東京都千代田区)100%出資の子会社「ビタミンCバイオリサーチ株式会社」(東京都中央区)は、化粧品原料を始めとするライフサイエンス分野にフラーレンを応用するための事業化に拍車をかけて取り組んでいる。

フラーレンとは、炭素のみがサッカーボール状に構成された分子(写真・フラーレン構造)。グラファイト、ダイヤモンドに次ぐ第3の炭素同素体として注目を集めている。しかし、フラーレンは、炭素のみで構成されている為、全く水には溶けないのが難点。

こうした中、親会社の三菱商事は、1998年にフラーレンの物質特許を取得するとともに、フラーレンの抗酸化力と抗酸化能の実証による原料の安定供給や基礎データ・安全性の実証、水に溶ける水溶性フラーレンの実用化等にメドをつけた。2003年にビタミンCバイオリサーチを設立して本格的にフラーレンの事業化に乗り出した。

2005年に商品化第一号原料の水溶性フラーレン「ラジカルスポンジ」(RS=写真)の開発に成功し市場に投入。以降、2009年には、独立行政法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)から補助金の交付を受けて油溶性フラーレンの「リポフラーレン」(LF)を開発し市場投入した。2016年には、保湿力を高めた「モイストフラーレン」(MF)とパウダー状の「ヴェールフラーレン」(VF)を開発し販売した。

「モイストフラーレン」は、角層のバリア機能を回復させ、肌本来が持っている保湿機能を引き出すことに加えて天然保湿因子(NMF)の発現を増幅させる特徴を持つ。
また「ヴェールフラーレン」は、フラーレンを多孔質のシリカに含浸させたパウダー状の化粧原料。シリカの粒径は4μmと一般的なシリカと同じ大きさで感触も良好なため、メークアップ全般の製品に使いやすいのが特徴。フラーレンの粉体化とメークアップ商品への処方提案を望む声に対応して商品化した。

2017年には、サンケア専門の「サンガ―ドフラーレン」(SF)とヘアケア専用の「ヘアーシャイニ―フラーレン」(HF)を開発し、市場に投入した。
「サンガードフラーレン」は、フラーレンと紫外線吸収剤を安定的に組み合わせたサンケア製品専用のフラーレン原料。サンケア製品の紫外線吸収力を高めると同時に、日やけによる肌の赤みを軽減する機能が特徴。
「HF」は、ヘアケア製品専用のフラーレンで、髪への浸透力が高く、フラーレンの特性である抗酸化機能を活かし、髪の内側からアンチエイジング効果が期待できる。組み合わせている毛髪のアンチエイジング成分「アルファードコサラクトン」により補修効果も期待でき、フラーレンによる「防御」とアルファードコサラクトンによる「補修」のダブル効果が特徴。

同社は、現在まで全部で6種類の化粧品原料フラーレンを商品化し販売している。

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