【連載】大手化粧品会社の研究(64)ふじの会社研究 ~平和の100万本運動に取り組む~(上)

2018.12.10

特集

編集部

「レイラ化粧品」のブランドで化粧品事業を展開する「株式会社ふじ」(埼玉県越谷市)は、化粧品1本販売するごとに1円を「女性平和基金」に積み立てる「平和の100万本運動」に取り組んでいる。
同運動は、化粧品の売り上げの一部を基金として積み立てるとともに、積み立てた資金を海外の女性を招いて日本で開催する原水爆禁止世界大会や日本母親大会などの平和活動資金に活用するもの。
現在、化粧品メーカーの社会還元策(CSR)として売り上げの一部を女性のがん救済活動資金にあてる企業が多い中で、同社のように年商平均約4億3000万円、社員数約17名の小規模化粧品メーカーが100万本運動を通じて平和基金に資金を積み立て活動資金に当てているのは、きわめて稀なケース。
同社は「女性にとって美しさを発揮できるのは平和な社会であってこそ実現できるもの。また、美と平和へのかけ橋をかかげる当社の理念と一致するとの思いが重なって2000年に女性平和基金の会を誕生させ運営している」という。

同社の創業は1971年。化粧水・乳液・コールドクリームの3品から始まり、香料のトラブルに悩む声から無香料製品を開発し、続いて現在までロングセラーとなっているしっとりタイプのSSシリーズを市場投入した。
1980年には、有限会社から株式組織とし、それを機会にブランド名を公募してアイヌ語で「風」を意味する「レイラ」を採用し、ブランド名を「レイラ化粧品」として新規スタートをきった。
90年代には、設備の充実と着実な努力の積み重ねで「医薬部外品製造業」の認可を受けた。それに伴い、 基礎化粧品からメイク製品、ヘアケア製品、フレグランスを含めてブランドを充実。さらに、ホワイトシリーズやアトピーなどの商品を開発・販売するなど、多様化するニーズにも応えてきた。
2000年には、環境マネジメントシステムの国際規格ISO4001の認証を取得し、環境に配慮した製品づくりを促進、エネルギー消費によるC0₂や廃棄物の削減など事業活動のすべてに環境を守る姿勢を貫いてきた。

ともあれ、「平和の100万本運動」を通じて平和活動に貢献する企業の社会貢献活動=CSRは、ユニークな活動として注目される。

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