【連載】大手化粧品会社の研究(86)ベルリーナの会社研究 ~事業の戦略見えず、経営の羅針盤描け~(下)

2019.03.29

特集

編集部

ベルリーナは、今後の事業展開としてOEM(相手ブランド生産)とサロン事業に力を入れて取り組む。
同社は「企業規模の小さい会社であるため、資金を投じてPR・宣伝することはしてこなかった。このため創業以来、体験会等を通じて「口コミ」で、事業、商品のPR、訴求力を図ってきた」-。
こうした中でOEM事業は、これまでのようにただ単にパッケージや容器を替えるのではなく。ユーザーのニーズを反映した商品創りに応えて行く。「地域には、独自に根差した原料や成分があり、それらを採り入れた商品化の提案を行い、受注に繋げていく考え」。

一方、別事業部としての「エクシ-ドサロン」をさらに拡大する計画。サロンの独立開業を目指す女性起業家を対象に家庭でも手軽にできるサロン開業について体験会の開催等を通じて勧誘を強化。合わせて既存サロンでの商品販促に一段と力を入れて取り組む。

同社は、近年、健康や美容面からオーガニックへの意識が高まると共に、毛髪染め「ヘナ」の需要が増えていることからヘナ染めの体験会を強化。同時に、ヘナとヘアカラーの違いやヘナの歴史や産地、製品特性などを詳しく説明。また、トリートメントメニューの提案やサロン導入事例等についても説明会を通じて販促を強化している。OEM事業やサロンの開業強化策は、自社商品の販売増、収益向上が狙い。

しかし、サロンの拡大策、強化策は、具体的にどのようなサロン経営に関わるノウハウ、施術法、開業ノウハウ等を持っているのか、極めて不透明。また、OEM事業についても他社とどのように提案内容に違いがあり、それが他社とどのような差別化を図るのか、具体的な処方・提案内容が見えない。
そうした具体的な取り組みによってOEM事業の成長戦略とサロン新規開設数を含むサロン事業の業績見通しについて、数値目標を定めることが求められる。
現社長を主体とした講話、勉強会等による販促、口コミ等から脱皮した経営の中期経営計画を具体的に描いた事業戦略「経営の羅針盤」を早急に確立することが求められる。

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