【連載】化粧特許と知的財産権⑥SANSHO、特許を取得・活用して事業に取り組む(上)

2019.06.3

特集

編集部

SANSHO株式会社(東京都中央区)は、化粧品事業と医薬品事業の両肺体制で事業を展開する医療系ベンチャー。お茶の水女子大学の教授が発見した新規生理活性物質「環状リゾホスファチジン酸」(CPA=化粧品原料)の研究成果を基にして変形性膝関節症治療薬を開発することを目的に起業化した。特に、事業化を進める上で「規模の小さな企業では、特許などの知的財産権が命であり、特許活用によるライセンス収入が経営の安定確保につながる」と考え、特許を取得・活用して事業に取り組んだ。
起業後は、お茶の水女子大学と共同研究を行い、環状リゾホスファチジン酸を基にした化粧品の新規物質に関する特許や変形性膝関節症の治療に用いる新規物質に関する特許を取得した。

NCPA は、すべての生物に微量に存在する生体内の脂質。1985年に発見されて以来、さまざまな研究の結果 人間にとって素晴らしい働きをすることが科学的に証明された。
化粧品の分野では「今ある細胞を活性化させて正常な細胞の分化を促進する作用」が確認された。同社は、お茶の水女子大学内に寄附講座を開設して研究者を配置し共同研究に力をいれている。

こうした中、同社は、NCPAを独自の技術により 化粧品原料として大量供給ができる技術を開発し製法特許を取得した。
現在、化粧水などに使用する新規成分の特許を取得して同成分を使用した化粧品原料をOEM生産している。これまで国内外の化粧品会社と提携や販売等の契約を行うなど「ビジネスを実施する上で、特許を取得していることが役に立った」と説く。
OEM生産の契約時に相手企業側から自社が持つ特許に関して詳細な確認があり、特許を取得していたことが契約時の重要な決め手となっている。原料提供としては、国内外のメーカーと協業契約を締結する等OEM事業を軌道に乗せている。

同社は、このCPAを化粧品原料(成分)として大量供給できる新機能性化粧成分「NCPA」(Natural cyclic Phosphatidic Acid =環状リゾホスファチジン酸NA)を応用開発した。
新機能性化粧成分NCPAの肌への効果として
①NCPAがヒアルロン酸合成酵素(HAS2)の発現を誘導することで高分子ヒアルロン酸が合成される
②即効的にコラーゲンを収縮させ、収縮が強い程、コラーゲンが強化される
③肌のハリと弾力を改善と千枝が細胞の活性化、骨格を強化する
④潤いを届けバリア機能が向上する等を実証し、早くから化粧品事業に進出した。
知財権を化粧品事業に活用することで新たな収益を創出しようというもの。

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