〇解説記事③マイクロプラスチックに揺れる化粧品容器 ~土壌、水に溶ける原料、生分解性プラスチック脚光浴びる~(Ⅴ)

2019.09.11

特集

編集部

プラスチック製化粧容器を原料面から代替するものとしてジャガイモやトウモロコシを原料とする生分解性プラスチック(写真)が「環境にやさしい」(アメニティ)原料として一躍、クローズアップされている。
生分解性プラスチックがアメニティであるということは、土壌や水中に溶けて無くなり生態系に及ぼす影響がないことが代名詞になっている。
これまで生分解性プラスチックは、高価格なことから農業用フィルムや商品容器、ストローなどに限定使用され需要増加も足踏み状態にあった。
そうした中、海洋問題でマイクロプラスチックが問題となり原料面からの代替が高まっているもの。
とりわけ、カネカ、ダイセル、日本触媒などの生分解性プラスチックメーカーと化粧品めーかーが急接近し、生分解性プラスチックを使った化粧品容器の共同開発の動きがより鮮明になっている。

カネカと資生堂の共同開発の動きは、まさに新原料、新化粧容器開発を象徴する動きとして注目される。
資生堂は2018年から日本企業として初めてSPICE(Sustainable Packaging Initiative for Cosme tics:化粧品のための持続可能なパッケージングへの取り組み)に参加している。グローバルな化粧品会社と協業し「持続可能なパッケージングの未来をともに描く」という共通の目標に取り組む。また、2011年からサトウキビ由来ポリエチレン容器をヘアケア商品の容器に採用し、2015年からは回収されたペットボトルからメカニカルリサイクルによって再生されたペット樹脂をボディーシャンプーの容器に採用している。同社は、独自の技術や社外とのコラボレーションを通じて商品の使いやすさや美しさだけでなく環境への配慮を追求した容器の開発などを行い、環境負荷の最小化を目指す。

日本では1989年に、生分解性プラスチックに関する技術の確立、実用化の推進を目的として樹脂メーカーや加工メーカー、最終製品メーカー、商社などによって生分解性プラスチック研究会(現在の日本バイオプラスチック協会)が設立され、生分解性と安全性に関する識別標準として「グリーンプラ識別表示制度」を設けた。経済産業省がこの生分解性プラスチックの愛称を公募した結果「グリーンプラ」と命名した。

同制度は、有害重金属類を基本的に含まず、生分解性と安全性が一定基準以上あることが確認された材料のみから構成されるプラスチック製品をグリーンプラ製品と認定し、製品にシンボルマークウィ付けることを許可するもの。
生分解性については、製品中に含まれる1WT%(重量パーセント濃度)以上の全ての有機材料が、JIS(日本工業規格)やOECD(経済協力開発機構)で定められた方法で試験してそれぞれで規定された期間内に60%以上が生分解することとされている。
安全性についても使用有機化合物は、天然有機物、食品添加物として登録されているもの、あるいは一定の安全性が確認されたものに限るとされている。また、日本環境協会が実施するエコマーク制度においても農林業用資材、造園・緑化用資材、コンポスト用資材として使われる生分解性プラスチック製品について別途認定基準書を作成するなどしてエコマーク製品の品質保証と普及に努めている。

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