化粧品ECの現状と課題⑤化粧品ECの現状と課題 ~ファンケル、中国など越境EC展開~(下)
2019.12.13
編集部
ファンケルのオムニチャンネル確立の背景には、スマートフォンとSNSの進展に伴い、消費者の購買が大きく変わったことが要因。
スマホであらゆる商品を選択・購入でき、それらの電子情報がSNSで一挙に広がり電子決済が可能になるなど消費構造が大きく変化したことが挙げられる。
こうした消費行動の変化を受けて企業は、消費者の行動に合わせた戦略が求められるようになった。販売チャネルを一つの絞るのではなく、複数のチャネルを用意して顧客・ユーザーが買いたいと思ったタイミングで購入できるような仕組みを作ること。ここにオムニチャネル化による電子商取引を実現する決め手がある。また、テクノロジーの進展で、顧客の消費行動を正確に計測できるようになったことも大きい。
店舗とeコマースそれぞれのチャネルでの商品、価格、購買データ等を統合し、他のチャネルなどでも活用できれば、より最適な電子情報として活用できる。
同社の年間売上(2019年3月期1224億9600万円)に占めるECサイトでの売上比率は、約5割に上る。会員数は約330万人、メルマガ会員数は約93万人に達する。1ヶ月当たりのページビュー(PV)は、約1000万PV。受注件数は、約20万件に上る。
同期における販売チャンネル別の売上高構成比率は、通販38%、店舗販売40.5%、卸販売10.5%、海外11%などとなっている。
一方、通販のショールームとしての役割を念頭に置いて1994年に展開を始めた実店舗数は現在、全国に約170店を開設している。
ここへきてサプリメントを中心に越境ECに力を入れているのが目立つ。中国におけるサプリメントの販売代理店である中国国際医薬衛生公司を通じてサプリメンを販売しているもの。
現在、日本国内の店舗で商品を購入した訪日観光客などに対して越境ECによる購入を案内するなどして、中国でのリピート購入に力を入れている。2020年度からは、中国専用のサプリメントも開発し、本格展開する計画。
だがECは直接、顧客と顔を合わせる機会が少ない。このため、顧客満足度「CRM」(Customer
Relationship Management)に対しての対策が難しく疎かになってしまうことが多い。この点が今後の課題といえる。