【連載】化粧品が起こすイノベーション・この技術に注目⑤高機能美容成分「フラーレン」の開発(上)
2020.02.6
編集部
美容業界で「フラーレン」(写真)という美容成分が一躍、注目を浴びている。 フラーレンは、炭素原子が球状の構造を成している化合物の総称で,ダイヤモンドや黒鉛,カーボンナノチューブと同様な炭素の同素体。
フラーレンは,分子性の単一の化学種として単離することが可能な炭素化合物。代表的な化合物として「C60」(60個の炭素原子が12個の五員環と20個の六員環を構成)がある。
フラーレンは、肌トラブルの要因となる活性酸素の除去力(抗酸化力)が高く、その抗酸化力はビタミンCの100倍以上の効果があることや肌のくすみ、たるみの原因を引き起こす抗糖化作用があること等が確認されている、
特に、フラーレンの美容効果の特長は、その高いアンチエイジング力。 そのアンチエイジング力は、ビタミンCの250倍以上とも言われるフラーレンの強力な抗酸化力(お肌の酸化を防ぐ力)によってもたらされている。
フラーレンは、大きく分けて水溶性と油溶性の2種類がある。油溶性(油に溶けやすい性質)のフラーレンを「リポフラーレン」、水溶性のフラーレンを「ラジカルスポンジ」と呼んでいる。ラジカルというのは「活性酸素の一種」という意味があり、活性酸素を吸い取るスポンジのような働きをするのが、ラジカルスポンジになる。長い時間に渡ってとても強力な抗酸化力をキープしてくれるのが大きな特徴。ラジカルスポンジは水溶性フラーレンなので、人工的に加工をして化粧品に配合されている。
フラーレンは、水に溶けにくい性質をしているので、化粧品に配合するためには「PVP(ポリビニルピロリドン)」という高分子ポリマーを、フラーレンに添加して水溶性にしている。
フラーレンの原料は、炭素の一種で、もともと黒い粉状の姿をしている。これに化粧品として使いやすいように加工して水に溶かしたものが「ラジカルスポンジ」、スクワランオイルを混ぜて油に溶けやすい液状に生成したものがリボフラーレンになる。
ラジカルスポンジは、水溶性フラーレンなので、人工的に加工をして化粧品に配合されている。
化粧品に配合するためには「PVP(ポリビニルピロリドン)」という高分子ポリマーをフラーレンに添加して水溶性にしている。
ラジカルスポンジは、化粧水など水分が多い化粧品に配合することができる点が最大のメリットといえる。
一方、リポフラーレンの長所は、しっとりしたテクスチャーで、油と親和性が高い成分なので、クリーム、美容液、BBクリームなどに向いている。また、フラーレンに混ぜ合わされているのは「スクワラン」だけなので、自然派志向の方にも安心して使え、添加物がないというのは、肌の健康を意識している人には嬉しいポイント。半面、短所は、油溶性のため、オイル系の化粧品に限られる。リポフラーレンとラジカルスポンジのどちらを選んでも、フラーレン構造は同じなので、活性酸素を吸収して無害化する効果に差はない。