【連載】化粧品が起こすイノベーション・この技術に注目⑦表情・印象技術・肌や顔の動きで印象検証(中)

2020.02.26

特集

編集部

ポ―ラオルビスホールディングスの子会社、ポーラ化成工業株式会社(神奈川県横浜市)は、2018年9月にドイツ・ミュンヘンで開催された第30回国際化粧品技術者会連盟(以下 IFSCC)世界大会の口頭発表部門で、これまで着目されなかった肌の「動き」による老化印象についての研究を発表した。

発表論文のタイトルは「日常で感じる老化の解明研究」。発表内容の概要は、これまでの見た目の老化印象の研究の多くは、真顔の写真など静止した顔を対象に行われてきた。しかし、日常生活の中で、常に他者の動いている様子を目にしている。そのため、人間は、シワやタルミだけでなく知らないうちに顔の「動き」方からも老化の兆候を感じているのではないか、と指摘。

これを検証するため、表情を変える際の動きの例として、口を開閉するなど顔を動かしている20~60代の女性80名の動画を撮った。さらに、比較対照として顔の動きが最も大きくなった瞬間をつなげた静止画も用意し、一般の方112名に動画及び静止画での年齢印象をそれぞれ評価してもらった。その結果、40代の顔を境に、動いている顔を見た方が年配に見えることが判明。

そこで、モーションキャプチャーを使い肌の動き方の年齢変化を調べたところ、年齢により肌が顔の動きに追いつけなくなっていき、50代では20代に比べて約0.1秒のタイムラグが生じていることを突き止めた。
このことから「表情をつくる際のごくわずかな肌の動きの遅れをエイジングサインとして感じ取っていることが示唆された」としている。

株式会社資生堂(東京都中央区)は、表情から受ける人間の感性を数値化し、感性工学の視点から素顔とメーク顔の笑顔が相手に与える印象を検証した。
「素顔と化粧の濃淡」も重要な要素と考えられている。資生堂は、こうした要素を考慮して顔を比較し「他人の記憶に残りやすいメーキャップ」を検証した。その結果、素顔は個人を識別する情報が多く覚えやすいが魅力の度合いが低く、濃い化粧は印象は強いが個人の特徴が薄れ正確に記憶されにくかった。同社は、自然な化粧が「好印象かつ個人の特徴を残して記憶に残る」と結論付ける。

また、魅力アップにつながる「笑顔」にも、メークが影響するようだ。人が持つイメージをモノづくりに生かす「感性工学」の視点から資生堂は、素顔とメーク顔の笑顔が相手に与える印象を検証。「無表情」を0%とし、「大きな笑顔」を最大120%に数値化して実験した。すると人が「最も魅力的」と感じる笑顔は、メーク顔で80%笑った顔だった。これに対して「最も親しみやすい」と感じる笑顔は、素顔で120%笑った顔との結果になった。

同社は、こうした要素を考慮して顔を比較し「他人の記憶に残りやすいメーキャップ」を検証した。その結果、素顔は個人を識別する情報が多く覚えやすいが魅力の度合いが低く、濃い化粧は印象が強いものの個人の特徴が薄れ正確に記憶されにくいとしている。

このことにより、自然な化粧が「好印象かつ個人の特徴を残して記憶に残る」と結論付ける。
また、魅力アップにつながる「笑顔」にも、メークが影響するという。人が持つイメージをモノづくりに生かす「感性工学」の視点から同社は、素顔とメーク顔の笑顔が相手に与える印象を検証。

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