【連載】化粧品が起こすイノベーション・この技術に注目⑪防腐剤無添化技術、無添加化粧品相次ぎ開発(下)

2020.03.20

特集

編集部

防腐剤フリーの研究・開発に取り組む動きの中で株式会社ファンケル(神奈川県横浜市)は、1970年代後半という早い段階に他社に先駆けてく無添加化粧品を販売した。

同社は、無添加化粧品を科学的に研究し解明するため、防腐剤を始めとするストレス成分(肌に負担を与える成分)が肌に悪影響を与えるメカニズム研究に着手。その結果、ストレス成分によって皮膚細胞のDNA損傷が引き起こされるなど防腐剤をはじめとするストレス成分が肌の老化を促進し、素肌美の妨げになっていることを細胞やDNAレベルで科学的に解明した。また、皮膚細胞の防腐剤の影響を検証し、細胞に微量の防腐剤を入れて培養するとストレスで表皮細胞が早く変化する「扁平化」することなども検証から確認している。

こうした無添加研究により、ストレス成分を含まないことが「アンチエイジングにつながる」という新しい概念の化粧品開発に繋げた。同社では、引き続き、無添加による肌を最大限に美しくするための化粧品研究を続ける方針。

ノンシリコンシャンプーも防腐剤フリーの代表的な商品といえる。ノンシリコンシャンプーとは、その名の通り「シリコン」が含まれていないシャンプーの総称で「シリコンフリー」と表現されることもある。
そもそもシリコンとは、化学反応によって人工的に作り出されるケイ素を含んでいる有機化合物で、シクロメチコンやシリカといった成分が一例として挙げられる。

国内で最初にノンシリコンシャンプーを開発したのが株式会社アデランス(東京都新宿区)とオリオン粧品工業株式会社(大阪府吹田市)が2010年に共同で開発したアミノ酸系のシャンプー「ヘアリプロ」である。
卵白を使ったたんぱく質変性試験の結果、卵白の白濁はほとんど見られなかった。これはシャンプーがマイルドであるという一つの根拠となった。また、薬用シャンプーの使用感を向上させるため、処方技術に力を入れて取り組んだ。

薬用シャンプーの処方は、処方の幅が狭く使用感が良くて安全性等をクリアするために社内基準で溶解テストを行うと、処方の幅は大幅に狭まってきた。特に、シャンプーは腐りが早く菌が出て臭いがする。防腐剤が頭皮に良くないということもあるが、菌が出る方が大きな問題となった。
両社の共同開発では、防腐剤としてのフェノキシエタノールなどの成分は処方しないことから、防腐剤的な役割を果たす成分を新たに開発し、ノンシリコンを実現させた。

株式会社ハーバー研究所(東京都千代田区)は、各商品の特性や相性、組み合わせなどを研究し、防腐剤を使わず、抗菌・防腐力を持つ無添加化粧品を開発している。
同社では、スキンケア商品やメイクアップ、ヘアケア、ボディケア全品にわたって防腐剤パラベン(メチルパラベンを含む全種)は一切使用していない。また、パラベンだけでなく石油系界面活性剤、合成香料、鉱物油などもすべて無添加を実現している。

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