【連載】化粧品が起こすイノベーション・この技術に注目⑬美髪技術、美髪を維持する成分等開発(下)
2020.03.27
編集部
株式会社ミルボン(東京都中央区)は、肌センサーで撮影した頭髪の画像から現在の髪の状態の解析と未来の髪の状態が予測できる頭髪解析技術を開発した。同技術を搭載してシステム化を図り、スマホなどで肌データや顧客管理等ができるクラウドサービスの提供を始めている。
同社では、同解析技術を開発するため、20代から70代の日本女性約2460名の毛髪と頭皮を網羅的に調査した。
この調査から
①マイクロスコープ画像中の黒髪面積値から髪年齢を算出
②頭皮が黄色になるほど加齢に特徴的な髪の形状変化が進み髪の艶が低下する
③頭皮が黄色になるほど加齢に特徴的な髪の形状変化が進み髪の艶が低下する
④頭皮が赤いほど白髪が進行するなどの結果を得た。
同社は、これらの調査結果を踏まえてスマホやタブレット端末で肌データや店舗・美容室などでの顧客管理ができるクラウドサービスを実現し提供をはじめている。
一方、同社は、毛髪内部がスカスカになる棒状空洞化をケアし毛髪内の密度を高める成分「SSSVRシルク」(イソステアロイル加水分解シルク)を開発した。
同シルクは、天然由来のシルクを分解し、小さくしたシルクPPTをさらにオイル化することで、毛髪補修機能を高めたハイブリッド成分。現在、同社では、すべての化粧品に配合して商品化を図り世界市場に投入・販売している。
株式会社資生堂(東京都中央区)は、艶のある美髪を維持する毛髪メラニン対応技術を開発した。これまで毛髪のダメージに関する研究対象は、主にキューティクルと毛髪の大半を占めるコルテックスが中心だった。しかし、同社は、毛髪メラニンと髪の艶の関係性に注目して研究を行った。
その結果、毛髪メラニンの流出が髪の艶を著しく低下させることが判明。それを踏まえて毛髪メラニンの流出を防ぐ成分と毛髪メラニンホールを補修する成分の開発を進めた。
この研究・開発により「カチオン性ポリマー」が毛髪メラニンの流出を防ぎ「塩基性アミノ酸」(たんぱく質を構成するアミノ酸)が毛髪メラニンホールを補修する働きをするということを掴んだ。
カチオン性ポリマー(毛髪への密着性・増粘性・耐塩性に優れた陽イオン性ポリマー)は、増粘剤でありながら フレーキングの起こらない優れたセッティングポリマーとしての性質をあわせもっている。
同社では、この新規カチオン性ポリマーの特性を応用することにより「フレーキングがなく」「べたつかず」 「毛髪の感触に優れる」など化粧品開発に応用した新タイプの頭髪用化粧品を開発し、市場投入している。