【連載】化粧品が起こすイノベーション・この技術に注目⑲毛髪染料技術、ヘアカラー・バッチテスト必修(上)

2020.04.27

特集

編集部

髪の毛を染める毛髪染料(ヘアカラーリング剤)には、医薬部外品に分類されるものや化粧品に分類されるものがある。永久染毛剤とくに酸化染毛剤(医薬部外品)をヘアカラー、半永久染毛料とくに酸性染料という色素を用いる染毛料(化粧品)をヘアマニキュアと呼ぶことが多くなっている。ヘアカラーとヘアマニキュアは、使い方や色持ちなどが違っている。また、ヘアカラーは、使用前に毎回、必ず皮膚アレルギー試験(パッチテスト)を実施する必要がある。また、最近では酸性染料以外の色素を用いる染毛料(化粧品)もさまざまなものが開発されており、カラーリンスやカラートリートメント等の呼称が使われている。

ヘアカラーは、いったん染まると2〜3ヶ月は色持ちする。染毛力に優れているものの、有効成分の酸化染料が体質や皮膚の状態によってはかぶれの原因になるため、48時間前に皮膚アレルギー試験・バッチテストが必修となっている。
ヘアカラーの染毛メカニズムは、アルカリが髪を膨潤させ、有効成分である酸化染料と過酸化水素が髪の中に浸透する。過酸化水素は、メラニンを脱色し、髪に浸透した染料を酸化する。染料は、酸化されると結合して発色する。ヘアカラーには髪の色素であるメラニンを酸化して脱色する働きと髪を染める働きの二つがあり、黒髪にヘアカラーができるのもその理由による。
白髪染め(白髪用ヘアカラー)やおしゃれ染め(黒髪用ヘアカラー)は、髪にしっかりと色を定着させるが、色持ちがいい半面、体質や皮膚状態によってかぶれを起こすケースがある。このかぶれは、多くの場合、有効成分である「酸化染料」に対するアレルギー反応によるもの。

一方、ヘアマニキュア、カラーリンス、カラートリートメントの染毛メカニズムを見るとヘアマニキュアの場合、一回の使用で色素(酸性染料)が髪の外縁から内部にまで浸透して染毛する。酸性染料という色素を染毛に利用した製品には、ヘアマニキュアと呼ばれているものがあり、色持ちは2~4週間程度。
色素の種類や量がヘアマニキュアとは異なるカラーリンス、カラートリートメントの場合は、リンスやトリートメントとして使用していくうちに、色素が髪の表層部に徐々に浸透・蓄積し、髪を染めていく。これらは、使い方や染まり方の特徴が製品によって少しずつ異なる。いずれも黒色の髪を明るくすることはできない。かぶれや髪の傷みはあまり見られないが、シャンプー、汗、雨などで色落ちや染毛時に薬液が皮膚についてしまうと、落としにくいことがある。

髪の色素であるメラニンを分解して脱色するヘアブリーチは、髪をはっきりした明るい色にしたい場合に使用する。また、ヘアカラーで染めた色を落とす(脱染)こともでき、脱染剤と呼ぶこともある。ただし、濃く染めた髪を完全に脱染することは困難。ともあれ、現在、それぞれの脱色に関する染料の長短がある中で、新たな毛髪染料の研究開発が盛んに行われている状況にある。

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