【連載】化粧品が起こすイノベーション・この技術に注目㉖紫外線カット処方技術(上)~ロート製薬、SPFブースト処方技術開発~

2020.06.22

特集

編集部

紫外線などをはじめとする太陽光線は、適度に浴びることで1日に必要なビタミンDが生成されて健康維持に役立つ。その反面、無防備に長時間浴びることにより、肌の光老化が起こる。
「光老化」は、加齢による自然な肌の老化とは異なり、くすみ・シミ・シワ等が生じる原因になるなどの害を及ぼす。いわば、紫外線は、表皮の炎症を起こしてシミを作り、皮膚の真皮内まで入ってコラーゲンや弾性繊維「エラスチン」の産生を阻害してシワが発生する。近赤外線は、紫外線よりも波長が長く、肌のさらに深いレベルまで到達する。また、肌のたるみの原因となることがわかってきた。
紫外線は、表皮の炎症を起こしてシミを作り、皮膚の真皮内まで入ってコラーゲンや弾性繊維「エラスチン」の産生を阻害することで、シワが発生する原因になる。近赤外線は、紫外線よりも波長が長く肌のさらに深いレベルまで到達することで、肌のたるみの原因となる。

こうした紫外線カット成分の力を高める処方技術の開発は、化粧品各社にとって腕の見せどころとなっている。各社の紫外線カット処方技術の開発についての取り組みと成果を検証した。

ロート製薬株式会社(大阪府大阪市)は、同じ量の紫外線カット成分で、日やけ止め効果を高める技術「SPFブースト処方」を開発した。
一般的に紫外線カット力を高めるためには、紫外線カット成分の量を多く配合する必要がある。しかし、紫外線カット成分を増量すると使用感が悪くなるため「高い紫外線カット力」と「使用感の良さ」を兼ね備えることは難しいとされてきた。
そうした中、同社は、新たに紫外線カット成分の量を増やさずに、日やけ止め効果を高める「SPFブースト処方」技術を開発した。

同処方技術は、紫外線カット成分と新採用「しあがり均一シルキー ワックス」を組合せたもので、紫外線カット成分の量を増やすことなく紫外線カット力を高めることができるのがミソ。
通常、紫外線カット成分は油性のものが多く、日やけ止め製剤の効果を高めるために多く配合するとべたつきなどの使用感が悪くなる課題があった。そこで同社は「しあがり均一シルキーワックス」を配合することで、紫外線カット成分の周りに被膜を形成し、薬剤を薄く均一に肌に塗ることや日やけ止め特有のべたつきを抑える「効果」と「使用感」の両立を可能にする処方技術を開発した。
同社は、紫外線カット力を一般的な日やけ止め処方と比較したところ、SPFブースト処方では紫外線吸収能力を約1.3倍に増強させることを確認した(図参照)。同処方技術は、紫外線カット成分の配合量を増やすことなく日やけ止め効果を増強した技術として注目される。

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