「信頼と意義が広報の鍵!」

【インターンシッププログラム】REAL VOICE「信頼と意義が広報の鍵!」

特集

鶴岡 大和,鶴岡 大和

IMG_2077

今回は、理美容・エステ・ネイル業界向けに製品開発・販売及び各種開業・運営支援サービスを提供する株式会社ビューティガレージへ取材に行き、営業企画室広報・PR担当の吉田知可さんにお話を伺いました。

「美容業界に疑問を感じてのスタート」

-企業理念に「美容業界を変える」という言葉があるのですが、美容業界のどのような点に疑問を抱いたのでしょうか。

美容室の業界を例に出すと、美容室を開業する時にだいたい2000~3000万円くらいかかります。初期投資を回収するのもままならないまま倒産してしまうという美容室がたくさんありました。理由の一つとして1つの美容室につき複数のディーラーさんが存在しており、複雑な中間流通を介してディーラーさんが美容室に理美容器具を訪問販売しにいくという形が当たり前でしたが、このスタイルだとコストが非常に高くなってしまうということがありました。これに弊社のCEOの野村とCOOの供田が疑問を感じて、サロンにダイレクトに商品を販売するようになりました。弊社はいわゆる一般消費者向け企業ではありません。美容室やエステサロン、ネイルサロンなどにベッドや消耗品である化粧品、タオルなどをECサイトとカタログ、それから全国10ヶ所にあるショールームで販売をするBtoB企業です。高価格の理美容器具に変わって中古品を安く仕入れての販売や、海外で生産した自社製品の販売を始めました。そうして価格を下げたことと、ディーラーさんから器具を買う形式を変えることができました。

「地道にまめに、が広報の仕事」

-広報部にはどれくらいの人が所属しているのですか?

広報部というのは正確に言うとなくて、「営業企画室」という社長直轄の部署で広報の仕事をしています。広報の仕事はひとりでやっています。

-広報として普段はどのような業務をしているのですか?

IMG_2070広報・PR関連の仕事だけでなく、宣伝・販促関連の仕事や代表直轄の部署に所属しているので社長室的な仕事もしています。ニュースリリースの作成や自社のメディア掲載確認、競合他社についての情報チェックもしますし、ブランドコンセプトを組み立てる会議にも出席します。もちろん、広報担当なので取材も受けたり、社長や他の事業部の取材にも立ち会ったりもします。あとは業界専門のメディアや一般紙誌、テレビ局などへメディアキャラバンに行きます。
新商品やサービスの情報を持ち込んだり、会社のIR関連でいいニュースがある場合は証券部に話を持ち込んだりしています。

-昨年の吉田さんが受けていた広報取材記事にこれから取り組みたいことの1つとして「対一般メディアとのリレーションズの強化」を挙げられていたが、現在の状況はどうですか?

実は当時取材を受けたときは上場していなかったので、対一般メディアとのリレーションズ強化は上場を踏まえての目標でもありました。上場したことで上場自体が1つのニュースとして取り上げてもらえました。ビジネスモデル的にもユニークということでよく取材の話をいただいています。

-一般メディアは美容業界の専門紙と業界についての理解度が違う中で、どのようなことを意識して一般メディアと信頼関係を築いたのですか?

私は元々PR会社にいたので、むしろ対一般メディアへのPRについては得意でした。しかし、美容業界の専門紙の方々との関係作りに苦労しました。私は美容師になったこともないので、どれがいいスタイルでどれがいい薬剤かもわからないところからのスタートでした。そこで30くらいある美容業界のメディアをとにかく見て、記事の感想を記者の方に話すようにしたら、こちらの話を聞いてもらえるようになりましたね。

また、弊社の代表も昔から美容業界にいた人間でもなく、新しいビジネスモデルを提案しているのでPRを本格化する前は保守的な業界体質もあって、新しい会社への警戒もありました。そこで、「サロンのためにコストを下げるようにしている会社」であることを地道に専門紙誌の方のところへ足を運んで伝える、連絡をこまめに取る、食事にもご一緒することで信頼関係を築いていきました。

「伝えるためにはプラスαがいる」

-広報の仕事は広く発信するだけでなく、見えないところでの地道な関係作りも大切な仕事なのですね。他にはどのようなことを意識して仕事に取り組んでいますか?

IMG_2071掲載を獲得するコツとして、「商品やサービスに社会的意義のプラスαを一緒にPRする」ことを意識しています。昨年、美容師さんやエステティシャンにネイリスト向けの動画配信サービスを開始しました。動画配信サービス開始のリリースをする前は、一部の衛生状態の悪いネイルサロンでは爪の病気になったりすることがあり、「ネイルサロンは危ない」という面だけが全国紙で取り上げられたことがありました。正しい衛生キットの扱い方などの動画をアップすることで、業界としてもそういったあまり良くない現象を改善しようとする動きがあること、つまり社会的意義をアピールしました。
また、美容師さんの平均年収は280万円くらいで低いのです。この動画サービスは、1本210円~という手軽な金額で勉強ができることも伝えました。このように、より多くのメディアに取り上げてもらうためには商品をストレートに紹介するのではなく、社会的にも経済的にも意義があるという味付けが必要だと考えています。

「広報にはイタコのような面白さがある」

-広報がただ伝えるだけでない大変な仕事である面をお聞きしてきましたが、その中で楽しさややりがいを感じるのはいつですか?

以前テレビ東京さんの「L4YOUプラス」という投資家向けの番組で当社を取り上げてもらったオンエア後に出来高の取引量が2、3倍くらいになって株価も上がりました。広報の効果は目に見えづらいことが多いのですが、こうやって何らかの形で目に見える効果があると嬉しいですね。あと、新しく立ち上げたブランドがグーグルの予測変換で出た時は世間的認知が広まったと感じて嬉しかったです。

-吉田さんは元々いたPR会社から現在の専門商社の広報部へ移ったことでやりたいことがあったと思うのですが、それは達成できましたか?

現在の会社へ移ったのは、PR会社での仕事をするうちに自分の会社のPRをしたいという思いが強くなったからです。PR会社では最後までお客様の面倒を見られないことやPRする会社の内部情報がわからず、情報が足りないということがあったのでその思いが強くなりました。やはり、会社の外からPRの手伝いをするより、中から自分の会社としてPRするのでは思い入れが違いますね。例えばヘアケア製品を作っている社員とご飯にいったりプライベートでも仲良くしていると、その人がどのような強い想いをもっているのか自分の肌で感じられるし、寝ずにブランドを立ち上げるために頑張っていたりすることを聞くと、自分も手を抜いていられないなと思います。そういった感覚は代理店の立場からでは感じられないものですね。作り手が近くいて、その想いをイタコのように感じつつ外に伝えられるのはすごくやりがいがあります。

「広報は、人間対人間の仕事である」

-広報にはどのような資質が求められますか?

事件や不祥事など危機管理の対応をする守りの広報ではなく、商品や企業のPRの意味合いが強い攻めの広報に限ったお話ですが、とにかく多くの初対面の人に会社や商品のことをPRしていかなければなりません。全然関心のない人に耳を傾けてもらうために、記者の方々に不快な言葉や態度を出さない人である必要がありますね。広報はやはり人間対人間の仕事なので、尊敬の気持ちを持ちながらメディアの方に接することが一番です。私は「日本を代表するエリートが毎日頭と体を極限までまたはそれを越して情報収集し、様々な調整をして一般の人間が得られないような情報をまとめ、分かりやすく伝えて下さっている」という感謝の気持ちを持ちながら接しています。
加えて、記者の方が関心を持っている情報を持ちこめる人がいいです。今で言えば、アベノミクスで美容業界がどう変わったか?美容室で人気が出てきたメニューは何か?というネタを持っていくと面白いねと思っていただけるので。快く、かつ印象よく情報を持ってくる人がいいと思います。そのためには、メディアの人がどのようなことを考えていて、何が好きで何が嫌いかということをわかっていないといけません。また、普段からこのニュースは広報が仕掛けていったニュースなのか、記者が自ら拾いに行ったニュースなのかを考えることも大切です。記事になっている部分は一部分なので、記事になっている背景を考える習慣をつけるといいと思います。

今回は、株式会社ビューティガレージ営業企画室の吉田さんにお話を伺いました。長い時間をかけて地道に築く様々な方面との信頼関係が私たちの受けるサービスとつながっていることがわかりました。吉田さん、ご協力ありがとうございました。

取材先紹介
株式会社ビューティガレージ

#

↑