【連載】台頭する創薬・再生医療ベンチャー【2】 セルシード、角膜再生上皮シート欧州での販売承認注目 

2013.10.3

特集

編集部

バイオベンチャーのセルシード(2001年5月設立、ジャスダック上場)は、再生医療製品の細胞シートを錦の御旗にして細胞培養器材の販売や欧州での角膜再生上皮シートの販売承認申請を行うなど世界標準化に向けた動きを活発化している。

セルシードの細胞シート写真細胞シート(写真)は、食道、軟骨、心筋などの細胞を大腿部、粘膜などから採取し、生体外で調整、培養、加工してシート状にし、損傷した部位にシートを貼ることで、傷んだ組織を組成・再生させるもの。特徴は、培養皿と細胞シートの間に温度応答性に優れた高分子を挟んで固定化し、温度変化をコントロールすることで、酵素を使わずに細胞接着と剥離が安全にできる。東京女子医大岡野光夫教授が世界に先駆けて開発し、岡野教授から同社が専用実施権を受けて事業化した。

同社は、現在、製品化した細胞培養器材「UPセル」などを販売する再生医療支援事業と実用化した角膜再生上皮シートを欧州市場で販売する細胞シート再生医療事業の2事業を中心に事業を展開。

培養器材の開発・販売を行う再生医療支援事業に関しては、これまでフナコシ、島津ジーエルシ―、和光純薬工業などと相次いで代理店契約を交わし、病院や医療研究機関向けに販売を始めている。また、大日本印刷と組んで同器材の生産能力増強とコスト引き下げについて取り組みを始めている。

再生医療事業については、2012年に6件の国内特許が成立した角膜、食道、軟骨、心筋、歯周組織など5つの再生細胞シートの内、角膜再生上皮シートについて2011年6月、欧州医薬品庁に販売承認申請を行い現在、承認待ちの状態。同社の収益と合わせて世界標準化に向けた動きとして最大の関心事となっている。

ここへきて経産省の補助事業「再生医療産業化促進事業」の採択を受け世界標準に向けた角膜再生上皮シートの有効性に関し、評価法の検証と細胞シートの製造コスト削減、品質評価法の検証を進めている。

同社の2013年12月期売上高は、器材販売7千万円、米エマウス社からの契約一時金1億1千万、その他3億5千万の5億3000万円を計画。営業利益(▼2億4千万円)と最終損益(▼2億3千万円)は、ともに減益だが前期に比べて損失額は減少する見込み。

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