【連載】幹細胞化粧品開発元年【10】リーブ21、抗がん剤の脱毛予防装置セルガードを産学共同で開発へ(下)
2015.10.22
編集部
リーブ21は、経産省の補助事業「医工連携事業化推進事業」の認定(2014年度から2016年度までの実証事業)を受けて現在、抗がん剤の化学治療で脱毛予防を図った毛髪育毛・発毛装置「セルガード」(写真)の開発に産学官連携で取り組んでいる。
同推進事業は、経済産業省が厚生労働省及び文部科学省と連携して2010年度から実施している医工連携推進事業。中小企業や異業種のものづくり力を活用しながら医療現場等において課題解決を図った医療機器・関連機器を開発・改良するのが狙い。
セルガードの産学連携による開発は11社がコンソーシアムを組んで開発に取り組んでいるもので、装置の開発から臨床試験、販売までを一貫して行う。
「セルガード」は、抗がん剤の投与時(投与の前後を含む)に冷却ユニットと連動したキャップを被り、毛細血管を収縮させて血流を制限し、頭皮の毛根細胞の代謝を抑える頭皮冷却装置。頭皮への密着性により頭皮全体をムラなく均一に冷却することで、脱毛抑制効果が最大化されるなど日本人女性の頭部形状や大きさに基づいて設計されている。
特徴は ①頭皮への密着性により頭皮全体をムラなく均一に冷却することで、脱毛抑制効果が最大化される ②不織布インナーキャップの使用により、頭皮への密着性を増す ③操作部に汎用のタブレットを使用し、操作性を向上 ④リモートメンテナンス機能を搭載し、故障時に故障箇所を事前に把握することができて復旧時間を短縮する。
これにより抗がん剤が不必要な箇所(頭皮の毛根細胞)へ循環することを防ぎ化学療法による脱毛を予防軽減する。
リーブ21は、2015年2月に提携医療機関で治験を開始。2015年度中に薬事申請を行い、2016年度にも薬事承認を取得して国内で販売を始める計画。また、同社はISOやCEマーキングを取得し欧州向け輸出を始める。
CEマーキングは、EUで販売(上市)される指定の製品に基準適合を表示したマーク。CEマーキングによってその製品が分野別のEU指令や規則に定められる必須要項に適合したことを意味する。
今後、2016年度前半までに小型化・静音化などの技術課題をクリアして量産化に乗り出す方針。
抗がん剤治療に伴う脱毛は、女性にとって深刻な問題。現在、開発中のセルガードが実用化されて脱毛の予防・軽減が実現できれば抗がん剤治療の副作用に悩む女性の大きな福音となる。