【連載】幹細胞化粧品開発元年【11】幹細胞コスメ開発元年 最終回
2015.10.23
編集部
幹細胞とは、細胞のモトとなる細胞のこと。幹細胞はさらに、体の各組織にある幹細胞「体性幹細胞」(体の各組織にある幹細胞)と「ES細胞」(受精卵から核を取り出して作られる幹細胞)及び、あらゆる種類の細胞への分化が可能な「iPS細胞」に区分される。
皮膚にも表皮を生まれ変わらせる「表皮幹細胞」とコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸など真皮の成分をつくる線維芽細胞を生み出して真皮を生まれ変わらせる「真皮幹細胞」がある。
年齢を重ねるとこの二つの幹細胞の再生能力が低下し、肌のシワ・たるみ・乾燥などの肌老化が衰えてくることが科学的に明らかになっている。
幹細胞の特徴は、さまざまな細胞に分化する能力「多分化機能」と細胞分裂をしてもさらに、自分自身と同じものを作り出す「自己複製能力」に優れていることが挙げられる。
幹細胞コスメとは「表皮幹細胞」と「真皮幹細胞」に視点を当て(アプローチ)表皮幹細胞と真皮幹細胞の特徴や作用機序などを実証しながら表皮・真皮幹細胞に直接、働きかける成分(美白、シミ、しわ等)を開発して化粧品として商品化することを意味する。
基本は人の幹細胞を対象としたもので、植物の幹細胞を対象に開発した植物由来幹細胞コスメとは区分される。
幹細胞コスメは、山中京都大教授が2012年12月にノーベル賞を受賞し、世界を震撼させたことを契機として研究開発が急速に進んだ。
ヒト由来幹細胞コスメ開発の現状は、表皮幹細胞と真皮幹細胞に作用する成分の開発が中心で化粧品として製品化されるまでには、時間がかかる状況にある。
こうした中、ヒトの脂肪由来幹細胞を培養した培養液を幹細胞コスメに利用する動きもみられる。
細胞が分泌する脂下脂肪から採取した脂肪由来幹細胞培養液には、一般の細胞を培養しても分泌されないアンチンチエイジングに欠かせない成長因子(情報伝達物質)が含まれている。
このため、美容整形やエステサロンなどで再生美容として使われている。特に、老化の原因である細胞の衰えを改善することで、美肌を再生する美容整形の美容療法に細胞培養液が使われるケースがみられる。その意味では、幹細胞コスメ開発の元年ととらえられるが総体的に薬事法に準拠した幹細胞コスメの開発はこれからが本番を迎える。
細胞と成分の有効性、安全性を実証して細胞レベルから商品化を図った次世代の化粧品開発に期待が一段と高まっている。