【連載】化粧品各社のイノベーション研究【18】ビタミンC60 バイオリサーチ② ~消費者向けプロモーション活動に力、フラーレンの認知度向上~

2016.04.6

特集

編集部

モイストフラーレンビタミンC60 バイオリサーチは、水溶性、油溶性フラーレンの商品化に続いて、2015年6月に2つの新原料「モイストフラーレン」(MF=写真)と「ヴェールフラーレン」(VF)を開発し、市場に投入した。

「モイストフラーレン」は、フラーレンの特長のひとつである保湿機能を高めた製品。角層のバリア機能を回復させ、肌本来が持っている保湿機能を引き出すことに加え、天然保湿因子「NMF」(アミノ酸の一種。角質層に存在し、肌のうるおいをキープする成分)発現を増幅させて保湿機能を大幅に高めた。特に、他の有効成分をカプセルに内包するカプセル化ができるのが特徴。

「ヴェールフラーレン」は、フラーレンを多孔質のシリカに含浸させたパウダー状の原料。ファンデーション等のメイキャップ製品へ配合することが容易にできる。

これらの2つの新原料は、保湿の高機能性や皮脂の分泌、毛穴開きを抑えるなどメークアップアイテムとして機能性を大幅にアップさせた。

同社が現在まで商品化したフラーレンは、全部で4品目にのぼる。いずれも国内販売は直販が基本。

現在の販売チャネルは,ドクターズコスメやエステ、TV通販など。主力ユーザーとしては、ドクターシーラボやDHC、ハウスオブローゼなどの化粧品メーカー、ドクターリセラ、ヴィズアス等のエステサロン向け化粧品メーカー、アリミノ、モルトベーネ等のヘアケアサロン製品メーカーなどに採用されている。

フラーレンを事業化して今年で13年になるが、事業化当初、新たな化粧品原料をユーザーに認めてもらうまで、商品の理解度、認知度などで辛苦を舐めた。
そうした経験の上に立って、消費者に対するフラーレンの安心・安全性についての啓蒙活動は、今もって変わることなく続いている。

同社は、原料の毒性など安心・安全性に対する懸念を払拭するため、女性雑誌とのタイアップや「フラーレンコスメ百貨」をWeb上にオープンして、フラーレン配合化粧品を紹介するなど消費者向けプロモーション活動に力を入れて取り組んでいる。
また、同社は、フラーレンの定期的な消費者認知度調査を実施している。3年前(2013年)は、フラーレンの認知度が9%であったのに対し、今年(2016年)は、28.3%まで上昇したことが同調査で判明した。3年間で3倍強の認知度アップになっており、プロモーション活動が奏功して、フラーレンの認知度上昇に繋がっていることを裏付けている。

ともあれ、ベンチャー精神に立脚して技術開発、商品開発、市場創生などを自らの手でイノベーションの波を起こし、事業化に積極果敢に挑戦して成長軌道に乗せてきた実行力には、目を見張るものがある。

現在、添加剤(医薬部外品)を認可申請中であるほか、2017年にも新化粧品原料を市場に投入する予定。また、フラーレンを化粧品原料のみならず医薬品原料としても活用を目指しており、引き続き外部企業、大学との提携を推進して行く。さらに、海外事業についても昨年、米国と中国に代理店を置いて販路開拓に取り組んでおり、将来は海外事業の売上比率を50%まで持っていく方針。

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